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本当は怖ろしい韓国の歴史
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歴史
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01 突っ込みどころだらけの建国神話【宗主国に気を遣う建国の父】

『本当は怖ろしい韓国の歴史』
[著]豊田隆雄 [発行]彩図社


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 ●韓国の建国神話


 どの国にも、史実とは異なる建国の神話や伝説が存在する。日本においては、イザナギノミコトとイザナミノミコトが交わったことで日本列島が形作られたとされている。太平洋戦争以前は、日本の教科書に建国神話が登場していたのだが、今ではこれを扱うものはほとんどない。詳しい内容を知っている日本人の方が少ないくらいだろう。


 しかし、現在の韓国で“朝鮮建国の父”とされる檀君(だんくん)を知らない韓国人はおそらく存在しないだろう。なぜなら小学校から高校、果ては徴兵以後の教育課程で必ず紹介されるからだ。日本の建国神話は『古事記』『日本書紀』に記してあるが、韓国では『三国遺事』がそれにあたる。


 お隣の国の建国神話を拝見してみよう。



 ●檀君誕生!


 時は紀元前2000年以前。天帝・桓因(かんいん)の息子の桓雄(かんゆう)は「人間の国を治めたい」と考え、下界を見下ろしていた。息子の志を知った桓因は太白山地域が良いだろうと考えて、息子に3つの天符印を与え治めさせたのだった。


 桓雄は風の神、雨の神、雲の神などの従者3000人とともに太白山に降り立つと、自らを桓雄天王と称し農作業、生命、疾病など人間の生活に関する360もの事業を治め、下界を統治したという。


 あるとき、熊一匹と虎一匹が桓雄に「人間にして欲しい」と願い出た。桓雄はよもぎひと袋とニンニク20粒を与え、「お前たちがこれを食べて、100日の間、日の光を見なければ人間になれるだろう」と言った。


 人間になりたいと願う熊と虎はそれを食べながら洞窟で生活を始める。


 洞窟で生活していれば日の光を見なくて済むからだ。ところが、虎は洞窟での生活に耐えられず飛び出してしまったため、人間になることはできなかった。対して熊は37日目に女性の姿に変わったのだった。「100日じゃなかったの?」と突っ込みたくなるが、先に進もう。


 予定より早く人間の女に生まれ変わることができた熊だったが、結婚相手がおらず困ってしまった。しょうがなく熊は太白山の頂上にある、神壇樹の下で毎日子どもが授かるように祈っていた。それを見た桓雄は人間に姿を変えると熊と結婚した。


 こうして2人の間にできた子どもが檀君だという。




 ●中国に気を遣う建国の父


 世界中のほとんどの国は、建国記念日または独立記念日を持っている。もちろん日本や韓国、中国にも存在する。アメリカが、イギリスから独立した1776年7月4日を独立記念日としているのは有名である。


 第二次世界大戦後に独立した国が圧倒的に多いため、記念日のほとんどは1945年以降のものだ。4000年の歴史を自称する中国さえ、毛沢東が天安門で建国宣言をした1949年10月1日を記念日にしている。


 日本の建国記念日は、初代天皇・神武天皇が即位したとされる、紀元前660年の1月1日(現在の2月14日にあたる)だ。そんな中で異彩を放つのが、韓国の建国記念日である紀元前2333年10月3日。檀君が朝鮮を建国されたとされる日である。世界で最も古い出来事に由来しているのだ。


 檀君が建国したのは、中国の夏王朝の君主・(ぎょう)が即位した50年後。平壌城に遷都し朝鮮と号した。天帝の孫である檀君ですら、宗主国である中国に気を遣わなければならないというのが哀しい。


 以後は神の血筋を引く者らしく、1500年の長きにわたり朝鮮を統治したが、中国の王朝・周の武王が前王朝・(いん)の一族の箕子(きし)に朝鮮を与えたため、檀君は隠れて山の神となり、1908歳で生涯を終えたという。



 ●正体不明の原典


 さて、その檀君神話が記されている『三国遺事』は、朝鮮最古の書『三国史記』からこぼれ落ちた説話を集めたものである。『三国史記』の成立は1145年。韓国人は「日本に書物を伝えた」ことを誇りにするが、日本最古の書『古事記』の成立が712年だから、実に400年以上の後れをとっていたことになる。

『三国遺事』の中で檀君神話に触れているのは400字程度である。日本人が古事記の原文を知らないのと同じく、韓国人も知る人はほとんどいないのが実情だ。内容はというと、書き出しに「『魏書』によると」と書かれていることから、中国の歴史書『魏書』からの引用であり、残りの部分は「『古記』によると」とあることから、檀君神話は2つの書物の記述に沿っているものだと分かる。「魏」といえば日本人にとっては『三国志』に登場する三国「魏・呉・蜀」のうちのひとつが馴染み深いが、ここでは4世紀に成立した北魏の正史『魏書』を指している。


 ところが、肝心の『魏書』には檀君の話はまったく登場しないのである。


 ではもうひとつの原典『古記』はどうなのかというと、この書物自体の正体が分からない。こんな危うげな神話を建国と結びつけて大丈夫なのかと不安になるが、神話の成立には当時の朝鮮半島の事情も関係している。


 朝鮮半島の1100年代といえば、女真族の侵入に頭を悩ませていた時期である。


 それ以前には契丹の侵入にも苦しんでいた。度重なる異民族の侵入に抵抗するためには、国民国家としてナショナリズムを高揚させる必要に迫られたのではないだろうか。そこで民族のシンボルとして担がれたのが檀君だったと考えられる。


 日本でも同じことが起こっていた。

『古事記』成立当時の日本にしても、律令国家としての仕組みが整ったばかり。体制が不安定な中で、国のおこりや歴史を書物にまとめようという動きがあり、これを受けて712年に書かれたのが同書である。民族の神話と歴史を語ったものであり、8年後には国家の正史として『日本書紀』が完成している。


 663年に朝鮮半島の争いに介入した「白村江の戦い」で敗北したのち、急速に国家を中央集権体制に移行させた日本だったが、大陸からの脅威は拭えず、その反動としてナショナリズムの高まりがあったと推測できる。



 ●謎の分析法で実在を確認


 ここまで見てきた事実からすれば、誰でも檀君というのは架空の人物だと分かる。そもそも1908年も生きる人間など存在しない。ところが、キリスト教の創世記を真実だと思っている人がいるように、韓国には檀君を実在の人物だと考えている人も多い。


 北朝鮮政府もそう捉えているようで、1993年には平壌近郊の江東郡大朴山で檀君陵を発見したと発表している。墓の中からは遺骨が見つかり、化石の年代特定などに使う「電子スピン共鳴法」という特殊な分析を行った結果、5011年前の檀君の骨であることが確認されたという。しかし詳細については一切公表していない。それにしても、仮に5011年前の骨であるとすると、『三国遺事』の記述とは667年もの誤差が生じてしまう。当時の北朝鮮の狙いは不明のままである。


 どうしても間の抜けた印象は拭えないが、韓国では、この檀君神話が国としてのスタートだと考えられている。



※『古事記』

712年に成立した日本最古の歴史書。天武天皇が稗田阿礼に読み習わせた「帝紀」「旧辞」を、のちに元明天皇の命で太安万侶が筆録した。全3巻。


※太白山

太白山は現在の韓国領。白頭山説もあるが、こちらは北朝鮮領で金正日が産まれたこと(実際はロシア領)になっている。


※神武天皇

神日本磐余彦天皇ともいう。日本の記紀伝上の初代天皇。天孫の降臨した日向から東征し、前660年元旦に大和橿原宮で即位したという。


※『三国志』

晋の陳寿によって書かれた魏・呉・蜀三国の興亡を扱った中国の正史。魏書30巻、呉書20巻、蜀書15巻。邪馬台国やほかの諸国、卑弥呼のことが記述されている。日本人になじみのある三国志演義は「三国志」を小説化したもので明代に成立している。


※女真族

中国東北部からアムール川流域で生活していた。女直ともいう。女真、女直は自称のジュルチンの宛字ともいわれる。金や清を成立させた。清朝の成立とともにマンジュの呼称が採用され女真の名称は歴史から姿を消した。


※実在の人物

筆者が学生時代に東洋史の研究者に聞いたことだが、彼が以前、講義で「黄帝(中国の神話に登場する人物)は伝説上の人物である」と発言したところ、授業後に中国の留学生から「黄帝はは実在する人物である」と抗議されたという。


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