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(2021/11/26 追記)

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ブラジル裏の歩き方
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ルポ・エッセイ
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リオのカーニバルに行ってみた

『ブラジル裏の歩き方』
[著]嵐よういち [発行]彩図社


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~朝まで踊り明かす、ブラジル最大のイベントに潜入~




 ブラジル第二の都市、リオ・デ・ジャネイロ。


 この街の名前を聞いて、まず最初に思い浮かべるのは「カーニバル」ではないだろうか。


 鮮やかな衣装を身にまとった大勢のダンサーが、巨大な山車を引き連れて、踊りながら行進する。その様子を誰もが一度はテレビのニュースなどで見たことがあるはずだ。



 ●超高額の賞金がかかるビッグイベント


 カーニバルはもともとキリスト教の謝肉祭を祝うイベントだった。それが現在のように派手なお祭りになったのは、20世紀の中頃になってからだ。


 19世紀の末頃、ブラジルのバイーア地方でアフロ・ブラジル音楽が誕生、それがもとになってリオでサンバ音楽が花開いた。リオの貧民街にこのサンバを楽しむ人の輪が広がり、「ブロッコ(Bloco)」と呼ばれる小さなグループが作られる。そのブロッコが組織化され、1928年に「エスコーラ・デ・サンバ(Escolas de samba=サンバの学校)」という団体が発足。その団体が中心となり、新聞社などの後援を受けて、“統一のテーマを設け、踊りを競い合う”という現在のカーニバルのスタイルが生まれたのだ。


 カトリックが太陽暦を採用しているため、カーニバルの開催期間は毎年異なるが、おおむね2月か3月のいずれかに行われる。期間は4日間で、2014年のリオのカーニバルは3月2日から5日にかけて開催された。


 リオのカーニバルの目玉は、サンバ会場で行われるダンス・コンテストである。出場するダンスチーム(エスコーラと呼ぶ)は、いくつかのグループに分けられ、採点形式で優勝を争う。各グループには序列があり、優勝すれば翌年、ひとつ上のカテゴリーの最下位と入れ替わり、昇格することができる。コンテストに出場するエスコーラは何ヶ月もかけて準備をして、カーニバルの日に備える。




 そんなコンテストで主役となるのが、頂点に位置する「グループ・スペシャル」の戦いである。2014年のリオのカーニバルでは、12のエスコーラが挑戦。優勝チームには、その年のリオのカーニバルの覇者として栄誉と賞金が贈られる。その賞金の額は、1000万ヘアイス。日本円に直すと、約4億6000万円というとてつもない額である。


 そのため、グループ・スペシャルのエスコーラは、大会に並々ならぬ意気込みで挑む。ひとつのエスコーラはダンサー、打楽器隊、山車で構成されるが、グループ・スペシャルになるとその総数は3000人から4000人。衣装や山車にも多額の費用がかかっており、その金額は数千万円から数億円にもなる。


 日本人の理解を超えた、まさに意地と意地のぶつかり合いである。



 ●カーニバルを観る


 では、ブラジル人が熱狂するリオのカーニバルとは実際どのようなものなのか。


 数年前、偶然、カーニバルの期間中にブラジルを訪れる機会があったので、リオにまで足を伸ばしてみることにした。


 カーニバルが始まると、リオの街には世界中から観光客が押し寄せる。サンパウロで会った旅行者の情報では、カーニバル期間中、リオに向かう交通機関は大混雑し、現地に行けたとしてもホテルが満室で泊まるところがない、との話だった。しかし、それは大げさであった。


 実際には、サンパウロや他の都市からリオまで1日に何本もバスが出ているので、満席で移動できないということはない。


 現地に着けば、たしかに高級ホテルや有名ホテルは満室だったが、中級ホテルは探せばいくらでもあった。リオのバスターミナルにあるホテル・インフォメーションでも空いているホテルを紹介してくれた。とはいえ、混み具合は毎年変わるので、時間があれば事前にインターネットなどで予約をしておいた方がよさそうだ。


 メイン会場のサンボードロモで行われるコンテストを観るには、チケットを購入する必要がある。チケットは旅行会社で購入する他、インターネットでも手配することができる。


 ちなみに、2014年度のカーニバルのチケットは、パレード本戦が1日につき、最安値の指定席で320ヘアイス、最高値の席が990ヘアイスであった。


 なんとか安く済ませたいという場合は、会場付近にいるダフ屋から安い席を購入するという手もある。俺が購入したのは、野球の外野自由席のようなチケットで、値段は約2000円だった。




 ●熱狂(?)のカーニバル


 グループ・スペシャルのパレードがスタートするのは、夜になってから。この日は、12のエスコーラのうち、半分の6チームが踊る。競技が終わるのは、明け方である。


 ホテルの前でタクシーをつかまえ、サンボードロモに向かう。だが、交通規制が敷かれており、途中までしか進むことができない。しかたがないのでタクシーを降りて、徒歩で会場まで向かった。


 会場までの道は人通りが多く、警察もたくさんいて安全だと思っていたが、歩いているとただならぬ気配を感じる。周囲は薄暗く、道のあちこちにガラの悪そうな連中がたむろしており、こちらを見ながら相談しているヤツまでいる。きっとよからぬことを考えているのだろう。


 足早に道を急ぎ、どうにか無事に会場に到着すると、入り口でなぜかコンドームが配られている。エイズの撲滅キャンペーンだというが、ここで配る意味がいまいちわからない


 カーニバルは予定通り21時からはじまった。会場のコースは750メートルほどあり、エスコーラがその上を1時間半かけてゆっくり進む。ひとつのエスコーラがゴールすると、次のエスコーラが出てくる。


 俺の席は、安かったせいか、ゴール近くにあった。21時にスタートしたエスコーラが俺たちの見える位置にくるのは22時半ぐらいになる。それまでの間は、オーロラビジョンで観戦する。


 外野自由席の観客は、音楽に合わせて狂ったように踊っている。まるで1年間溜めていたエネルギーを放出しているかのようだ。




 しばらくして1チーム目が見えてきた。山車のてっぺんで、裸同然の美女が踊っているではないか。ピッタリと息の合った踊りは壮観で、ダンサーたちの弾けるような笑顔がまぶしい。彼らはこの日のために、途方もない労力と金をつぎ込んでいるのだ。そう思いながら見ていると、自然と体が熱くなってくる。


 先ほど述べたように、カーニバルのコンテストでは審査の上、順位がつけられる。グループ・スペシャルでも最下位になれば、下のカテゴリに降格してしまうので、参加者はみな真剣だ。


 その後も自由席のブラジル人たちと騒ぎながら、コンテストを観戦した。しかし、2チーム目が終わった頃に、疲れが限界に達したため、やむなく会場を後にすることにした。


 ちょうど同じ年、知り合いの日本人旅行者がカーニバルを観戦していた。彼らはいい席で観戦していたので、ゆったり最後まで楽しめたそうだ。ケチらず、そこそこの値段のチケットを買っておけばよかったと、いまさらながら後悔している。




 ●リオのカーニバル注意情報


 カーニバル期間中、リオの治安は目に見えて悪くなる。


 2014年度のリオのカーニバルを訪れた旅行者から、メールをもらった。その内容は次のようなものだった。

「日本人女性が襲われ、抵抗したら足をナイフで切られて病院に送られた。カーニバルの期間の最初の3日間で29人が襲われて死亡した。その内訳は26人が観光客で、3人がブラジル人だ」


 カーニバルは夜通し行われるため、帰る場合は夜中か、明け方になってしまう。コンテスト会場の周辺にはファベイラが多く、なにかあっても通行人は助けてくれない。


 ある日本人旅行者は8人だから大丈夫だろうと歩いていたら、10人以上の男に囲まれて襲われたという。くれぐれもケチらず、タクシーを使っていただきたい。



※バイーア地方

ブラジル東部の大西洋に面したバイーア州のこと。州都であるサルバドールのカーニバルも有名。

※採点形式

審査は以下の10の項目で行われる。

①パーカッションバンドのリズム

②サンバの曲

③音と視覚の調和

④リズムとダンスの調和

⑤パレード全体のテーマ

⑥全体的な印象

⑦フロート(山車)と乗り物の芸術性と創造性

⑧コスチュームの芸術性と独創性

⑨先頭グループのアピール

⑩旗持ちの女性とそのエスコートの男性のダンスと調和

(http//www.rio-carnival.net/より)

※カーニバルの参加チーム

グループ・スペシャルからが12チーム。その下には、グループAからEまで設けてあり、グループAが10チーム、グループBからDまでが各14チーム、グループEが8チームある。そのほかにも地元のチームが無数にあり、カーニバルに参加するダンスチームの総数は把握できないほどの数になる。

※数千万円から数億円

エスコーラの中にはカーニバルの費用を捻出するために、ドラッグの密売や非合法賭博などに手を出すようなところもあるという。

※世界中から観光客が押し寄せる

カーニバルの期間中、リオには200万人もの観衆が訪れるといわれている。

※サンボードロモ

(Sambódromo da Marquês de Sapucaí)

正式名称は、サンボードロモ・ダ・マルケス・ジ・サプカイ。

1984年に建造。収容人数は、約9万人。会場のコースは約700メートル。おおまかな位置は、第二章「リオで本場のサッカーを体験」の地図参照。

※夜になってから

スタート時間は年によって異なる可能性がある。訪れる場合は事前に確認しておこう。

※コンドームを配る理由

表向きはエイズ撲滅や性病防止との理由だが、本当は「カーニバル・ベイビー」を防ぐのが目的という話も。ブラジルではカーニバルの期間中、ハメを外す男女が続出。10ヶ月後に父親のいない子どもが生まれるケースが多いといわれる。それを防ごうというのだ。

※ゴール近くにあった

サンボードロモのサンバ会場は、何度か増築している。いま思えば、俺の席は増築された席だったのだろう。

※そこそこの値段のチケット

俺の友人は、日本円で5万円くらいの席をとっていた。カーニバルを楽しみたいのならば、そのくらいの席はとっておいた方がいいだろう。


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