『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
国防方針は日本の国策
土肥 大井(篤・兵51)さん、続いて一つお願いします。
大井 あの、私の一般の所見でございますが、まぁ、よくこう書かれましたのをですね、書かれたというのをまぁ、「中央公論」に載せられましたのを、私がこれ読みましてもね、一般の人がどれぐらい理解してくれるかっていう事を、一つ疑問に思うわけなんですね。せっかく、言われましてもね、というのはね、第一その、ここで、私、前からそう思ったんですが、国防方針というものは、一体、どういうものだったのかっていう事がね、私あの、防衛庁の戦史を見た時から思ったんです。一体、これは日本の国策なのか、という疑問ですね。ところがね、日本の国策だと、これ外交方針なんですね。大部分は、外交方針だという事になると、外務大臣は、外交大権も憲法で持ってるわけですね。外務大臣は関係していてね、そうするとこれ、外交方針にはならんと、外交方針のない、戦争計画というものは、ちょっとこれ、難しいと。私これは、前にも聞いた事があるんですが、国防方針っていうのは、軍備を立てるために、便宜上、便宜上っていうとあれですけれども、真面目に言うんですが、このせっかく立てた、税金を取った軍備が、無駄になる事がないように、一生懸命真剣には研究するけれども、これは軍備計画が上のものなんじゃないか。したがって、作戦計画の基準になっても、これは差し支えないわけですが、この辺の事をね、やっぱり、当時、言っておられた方が、佐薙さんとか、松田さんだとか、国防方針だと、我々は見る機会は全然なかったわけですが、ある事すら知らない、いつ改定したかも知らんような人間が、これ、今聞いた事に関係あればですね、せっかくその時おられた方は、はっきり告白してもらいたい。