『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
それと、統帥でありますけれど、海軍も陸軍と同じく、統帥権の独立を信奉している。しかし、軍令部総長の、軍令に対する責任は、全面的なものであるか、あるいは単に輔翼についてのみであるかについては、法制上の解釈には、統一したものを持たなかったようである。ただ、慣習として、軍令部総長は一切の責任を自ら負うべき者として、疑問の余地はない。しかし、もし軍令部総長の軍令に関する責任は一身に引き受ける態度であるなら、天皇への上奏前、陸軍などと十分な意見の調整を行い、要すれば、天皇の内意を確認しつつ、名実共に国軍一体の軍令案を得て、上奏、允裁を仰ぐ手続きが、より徹底したものでなければならないと思われる。