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[証言録]海軍反省会 3
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歴史
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【中島発表】無線通信──潜水艦通信に超長波を利用

『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成 [発行]PHP研究所


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土肥 時間となりましたんで、ただ今から第二十三回反省会を始めさせて頂きたいと思います。今日は、中島(親孝・兵54)委員の情報通信に関する問題を扱ってもらうつもりでおります。それでは、これから、中島委員の通信、もしくは情報に関するお話をして頂きたいと思います。

中島 中島でございます。ご指名を頂きまして、ただ今から、通信、情報の辺りについて申し上げます。実は、通信とか、情報とかいうものは、限られたものであり、しかも、技術的なものが多いので、技術を抜いては、本当の研究にならない。ところが、この反省会の目的からしても、みな様方の顔ぶれから考えましても、あまり、技術的な事に入るのは適当でないと考えますので、一応、みな様のこれからのご研究の、ご参考になると思う事を申し述べます。それで、これを記録に残すかどうかも問題でございますので、今日、お配りしたものは、別に記録に収めてはございません。むしろ、申し上げる事の覚えを書いただけでございます。


 そこで、まず通信から始めますが、通信には、視覚通信であるとか、あるいは文書通信であるとか、有線通信とか、無線通信であるとか、色々とございますけれども、海軍では、一般に艦船と飛行機が戦闘単位でございましたので、無線通信だけについて、申し上げたいと思います。それで、無線通信となりますと、やはり、技術的な事を申し上げないと。申し上げましたが、一応今度の戦争で、非常に問題になったことが二、三ございます。それの一つは、特に電波伝播の方面でございますが、太陽の活動が衰えたために、電離層が非常に薄くなりまして、そのために電波が屈折して戻ってこない。それか、戻っても、遠くにいたら戻るけれども、本当に近い距離には戻ってこない。したがって、通信が届かない距離が相当できた。これは予測されなかったと申しますか、多少日本では研究しておったのでございますが、ここまで酷くなるとは考えていなかった。アメリカも同様でございまして、アメリカも非常にこれ、弱ったらしいです。ただ、アメリカはなかなか、大規模でございまして、日本がポツポツと南洋方面で電離層の調査研究をやってるのに比べまして、大規模に電離層の調査をやりまして、対応していました。で、一つはアメリカは普段から、日本の海軍でやってる中波でございますね。それは、長中波と申しますか、その辺のですか、日本で言う、短波よりも少し長い所ですね。これを非常に使っておりましたので、これを今の電離層の影響が少ないので、この方面には、あまり影響はなかったようでございます。それから、もう一つは、潜水艦に対して、超長波、極く長い電波ですね、これを潜行中まで届かせると。これは、アメリカはどうですか、やってなかったようでございますが、日本ではこれを開戦前から始めまして、相当活用されてる。もともと、電波の伝播から言いますと、海水が導体でございますので、海水中に電波が入りますと、急速に衰えてしまう。信号電流になって、エネルギーが壊れますから、電波が衰えるわけです。したがって、海水の中をほとんど、電波が通らない。ところが、それを、波長が長い、振動数の遅いものほど衰え方が少ない。昔は、短波なんていうの、考えられない時代では、長い電波で、アメリカとも、ヨーロッパとも通信をやったものでございます。そのうち、短波ができてきて、電離層の反射という事が分かった。小さな発信でも、遠くまで届くと、こういう事になって、すっかり長波は衰えたんでこざいますが、ただ、海水中に入ると電波が長いほうが衰えが少ないんです。それで、昭和十一年頃でございましょうか、イタリーで、盛んにこれをやってると、情報がありまして、確か伊藤(庸二)技術大佐ですかな、当時向こうに行って聞いてこられた事がある。日本でも、これを研究する必要があるんじゃないかという事になりましたけれども、軍令部でしたか、潜水艦からは発信できない、受けるだけで、発信できないのでは意味がないから、やらなくて良い。というような意見が、大分出たらしいのでございますが、開戦前になってから、急に具体化して、どうしてもやるという事になりました。ところが、そういう送信機がない、ちょうど船橋の長波の送信機が、改造中で使えなかった。それで、名古屋の近所の()()()(愛知県碧海郡依佐美)というところに、逓信省の欧州向けの、ヨーロッパ向けの発信所がありますが、ここに長波(アンテナ)がある。しかも相当長いんです。これを使いまして、潜水艦通信をやりました所が、だいたい、電波が一七キロヘルツですか。ですから、いくらになる。一万七〇〇〇メーターぐらいでしょう。波長にします。そのぐらいの長い電波が出る。それで送信をしますと、潜水艦が一五〇〇マイルとか、離れた所で、だいたい一五メーターぐらい潜っていても受信できる。


 こういう事になりまして、これも大いに活用されたはずでございます。もともとこれは、着想がなかったかと申しますと、五一期の有坂(磐雄)さんですな、あの人、なかなか、天才的な所がありましたんで、昭和五年にですね、伊の二潜の通信長やっていた時に、長い電波ならば、潜水艦からも送信できるんじゃないかという事で、送信機を改良しましてね、それで、ジャンピング・ワイヤーの下に取り付ける、キャプタイヤーのアンテナで送信したんです。ところが、これは多少は出ますけれども、極く弱いんで、とても実用にならないんです。その後の研究によっても、水中からの発信は、とても見込みはなかったんです。ところが上から入りますと、上の電波は勢力が強うございますから、一五メートルくらい入ったんです。これでも良い活用でございます。


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