『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
三代 関係する事が二、三ありますから、申し上げます。昭和八年ですが、私が大学校に入る前の年、鳳翔の分隊長になりまして、昭和八年の春です。沖縄だったと思うんですけど、沖縄を基地として、爆撃をやれという命令を受けまして、先任でしたから。雲がありまして、初めは雲の上に上がって、目標付近に着いたら、雲が切れたりしておれば、あそこから降りてやろうかなと思ったんですが、段々、行ってみるとですね、雲が深くなってきて、どれも切れ目なんかありそうもないというので、やむなく、雲の片側をスレスレに飛んで、三〇〇メーターで爆撃をやったんですよ。三〇〇メーターで、あなた、艦上攻撃機がね、水平爆撃機をやるなんてのは、無茶ですよ。みな落とされますわ。で、有効な爆撃はできませんよ。あんまり、こう、正直過ぎて、しかし、やむを得んから、それやったんですから、それでその結果をですね、私はその、意見を出したんですね。