読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1107127
0
[証言録]海軍反省会 3
2
0
0
0
0
0
0
歴史
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
【小島発表 ドイツから見た日本】ドクトル・ハックの来日

『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成 [発行]PHP研究所


読了目安時間:5分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


土肥 五十六年十二月一日、第二十四回反省会を始めます。小島(秀雄・兵44)先生。

小島 私の話はドイツから見た日本、そういう事にしたのですが、実際はドイツに陸軍の連中、陸軍は大島(浩・士18)武官がいましたが、陸軍のやる事を分けて見ながら、それにどういうふうにして対抗していくか。それに苦心したのが大部分でございますが、ドイツを大島氏がどのように判断したか。実の所、色々あります。なるべくそのままずっと順を追ってお話しする事にします。少し長ったらしい所があるかもしれませんが、その時にはご注意ください。


 一番初め、ドイツの海軍武官を承り、私は海軍省副官だったのですが、昭和十一年の一月に内命を受けまして、「君は今度ドイツに行くんだ」と言われて、後任の来るのがちょっと、柳澤蔵之助(兵46)さんが軍縮問題をやっていたので、その仕事が終わった所で引き継ぎ交代と、こうなりましたので、二月に代われなくて、実際は三月に出発したんです。


 その前に何やかややっていたら、一月の中旬に、ドイツにおった私の前任者の横井(忠雄・兵43)武官から電報が来まして、日本海軍に始終出入りしておるドクトル・ハックという御用商人がおります。これは主にハインケルの代表だったんですが、そのほかの物も日本に売り込んでおりました。


 彼は策士でございまして、前は満鉄にいたことがあるんです。それで帰って日本通として日本に近寄っているわけです。同時にリッペントロップに近寄ったらしいんです。それが急に日本に来るのに横井武官にあいさつもしないで出発した。横井君は、何か彼は大島陸軍武官から内命を受けて出たらしい、と、こういう事でございました。


 その時彼は、名義は、ファンクという映画制作者が日本に来ると。そのファンクの付き添いで日本に来たという事を名義にした。日本に来て、日本で『新しき土』という満州を題材にした映画がある。これがドイツでは『侍の娘』という名前で原節子が出て非常に有名な映画ですが、それにハックがついてきた。私は、帝国ホテルへ注意して、もし来れば、僕は会いたいから知らせてくれと言って、それで、行ってハックに会って、お前は横井武官にあいさつもせずに出発したんだが、大島からどんな事を言われたんだ、こう言ったんですよ。そうしたら、はっきり言わないんですけれども、二国の間に何か協定を結びたいと大島さんは考えたんですね。これについて日本は今まで英米に親しい国柄なので、色々な方面で抵抗があるかもしれんが、その様子を見てこいと、こう言ったと彼は言うんです。


 しかし、大島氏がそういう事をやっているということが分かったんです。それで私はすぐ上長にも連絡を取りまして、そうしたら大角((みね)()・兵24)(海軍)大臣は外務大臣にも話をしに行ったらしいです。


 それからしばらくして、陸軍の方の有末(精三・士29)君の手記を見ると、二・二六の後で寺内(壽一・士11)さんが陸軍大臣だった。ちょうどその時にドイツから大使が帰っておったわけですね。武者小路(きん)(とも)さんが帰っているという事を聞いて、すぐに彼をホテルに訪ねた。自分の家は焼けたと言ってホテルに行った。親戚の者が知らせてきたので、会いましてその話をした所が、武者小路さんが「何か大島が企んでいるという事を聞いておったが、よく分からなかった。陸軍はどうも軍事同盟を考えているらしい」、とこういう事で、その後で二・二六の後ですから私の行った後ですが、寺内さんが学習院の所に通っているので会って、有末さんの手記では寺内伯が武者小路さんに告げた。それでこれから先は陸海内で協議して条約案を作るという話になった。


 私は四月にベルリンに着任しまして、前任者の横井さんと一緒に大島少将を訪ねた。私は中佐で行った。大島少将は十年も先輩で二階級上の人でしたが訪ねて、実は東京で私はハックに会ってきたとこう言ったんです。


 そうしたらハックは、私が留学した時分に荒城(二郎・兵29)武官、その次の小槇(和輔・兵33)武官の時に始終色々な売り込みに行っていた。私はよく通訳でいまして、個人的にも知っておった。それでハックは、あなたにはは言えない、と言ってくれたんですが、それで私は大島さんに、ハックから一切聞いてきた。これから先は内緒にされちゃ困る、と言った。そうしたら、横井さんに、僕は今まで参謀本部の命令だから一言も言わなかったが、これから先は小島君と協議する、と言われて、横井さんも憮然としておられました。


 その晩に代理大使の井上(庚二郎)参事官が、大使公邸で私の顔を見た時に、初めて大島さんがそれを井上参事官に告げた。井上さんも非常に憤慨しましてね、プンプンしておりました。それでドイツでは大島氏は内緒でそれをやっておって、そしてその間に若松さんが日本からドイツに連絡して、色々協議したという事になっています。


この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:2016文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次