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[証言録]海軍反省会 3
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歴史
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リッペントロップの思惑

『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成 [発行]PHP研究所


読了目安時間:7分
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 その時に私は色々想像して、これはだれが考え出した事かと。独断で、ハックが自分でやった事か。リッペンが言った事か。大島さんの発意か、それは分からなかったんですね。最近になって色々なものを調べましてよく分かりました。リッペンから言われた。もとは、どうもヒトラーが日本と親しくしたいという気持ちがリッペンを動かしたらしいんです。そして、一番初めは、ちょうどヨーロッパに山本五十六(兵32)少将がロンドンにおられた時にリッペントロップが、山本さんをヒトラーに会わせるようにしたらしいんです。ところがその時、武者小路大使が、ロンドンに松平(恒雄)大使がおりましたので電話したらしいんです。そしてリッペントロップが会いたがっておるがどうだろう、こう言った所が、今、英米との関係があって、どうも山本さんがヒトラーにお会いになるのは好ましい事ではないのではないか、と言う。その事を横井さんはどのように聞いたかというと、横井さんは(ドイツ)海軍省に行った所が、その話が出たそうです。そして、どういう事かというと、電話をドイツはすっかり聞いておった。大使の電話は普通の会話でやったわけですね。それを聞いておって、こんな話し合いをして、断ってきた。それがちゃんと海軍本部に来ておったらしいです。横井さんは非常に憤慨して、武者小路さんに、そういう電話を平気でかけて、それがみんなドイツ側に知れるというのは良くないじゃないかと、こう言った。これは横井さんは日本に報告していないんです。その時山本さんに会おうとしたが、山本さんが会わない。それで今度はリッペントロップが陸軍武官の大島はどうだ。こう言って大島さんの所に、ドクター・ハックを使いに寄越した。それがスタートらしいんです。


 そして、リッペントロップは、何とかして日本とドイツを結びたい。ドイツ自身、孤立していましたからね。そういう事を言い出した。大島さんはこれで日独の軍事同盟ができればと、こう思ったらしいんです。ところが、いつかお話ししたように、その当時のドイツ陸軍というのは日本陸軍を全然軽蔑しているんです。それは私が行ってからよく分かったんですが、オットーが日本の武官をした。ドクター・ゾルゲに関係していたオットーですが、あれが打った電報が、日本の陸軍というものは、シナ大陸では戦争になるが、一等国の陸軍を相手にするような装備を持っていない、という事をはっきり電報で打っています。


 ドイツ陸軍は介石に非常に同情していまして、また介石のほうはドイツ陸軍を信用していまして、綿密な色々な教えを受けているんですね。ドイツ陸軍は介石の所に将軍を二~三人送っています。そして、航空の関係も飛行機もみんな中国に売る。色々な事をやっている。日本の陸軍は全然相手にしていないんです。


 それで軍事同盟というわけにいかなかった。そこで防共協定、コミンテルンの宣伝を防ぐという防共協定という話があった。私は、大島さんはしきりに軍事同盟の事を言ってましたけどね、どうも僕が聞いた所によると、ドイツ陸軍というのはまるで日本の陸軍を無視している。陸軍の補佐官がしきりに私にそれを言うんですよ。どういう事かというと、私は海軍長官の所に行くと非常に丁寧で、海軍本部に行くと副官が、君が来たら、長官が君には何時でも会ってくれるから、会ってくださいよ。それで色々なお話をしてくださった事もある。見学も、全然文句なしに何でも見学をお願いしてやってくださった。


 それは、なぜかというと、その前に彼らは航空母艦を造りたい。日本の海軍の航空母艦について知りたいという事を長官が考えて、ある人をよこしたんですね、海軍省の副官を。その人と会った時に何だか話がはっきりしないんで、予備の海軍士官がいるだけで、武官が連れてきたんですが、あまりはっきりしないから、武官に、一体何を言いにきたんだと。そう言ったら、実は自分のほうでも航空母艦を造りたいんだが何も資料がない。日本海軍で我々に提供できる資料は、少しでもいいからもらいたいという事を言ってきたんです。そうしたら軍務局の黒島(亀人・兵44)さんが、局員と色々話をしていた所が、艦政本部に報告に行くと、たくさんドイツからはもらいたい資料があるから、日本の航空母艦の資料と交換したらいいだろうという話になりまして、それで向こうから造船官をよこしなさい、飛行将校をよこしなさい、こっちの資料をあげるからと。


 それで来て、片桐(英吉・兵34)さんの航空戦隊に私は案内していって、昼夜間の飛行に同乗させて、(かや)()式の装備とかみんな見せたんですね。海軍省の二階会議室で色々な専門家たちが集まって、向こうの質問に答えたんです。それで赤城のブループリントまでやったぐらいでした。ドイツは非常にそれに感謝して、日本の欲しい技術をできるだけ提供しよう、海軍も陸軍も。そういう事があったものですから、海軍長官が非常に日本の海軍に対して感謝しておられたから、私は非常に仕事がしやすかった。


 それで、日本に来たら軍事同盟とかというのは防共協定になりましたが、その進行状況というのを、リッペントロップというのは外務大臣でも何でもないんですよ。ナチの党の外交係なんです。それでリッペントロップ事務所を持っている。外務大臣はノイラートといって男爵を持っている。それをつんぼさじきに置いてリッペントロップと大島さんとの間で話し合った。それで、武者小路大使の連絡は大島さんだけになって自分はほとんど関わらない。大島さんの役割というのが入ってきたと聞きました。そういう関係で進んだ。


 それで私は、外務大臣もつんぼさじき。陸海軍長官もつんぼさじき。それで私は海軍長官に会うたびに実は今アンティ・コミンテルンについてのパクトを作ろうとしている。軍事同盟ではないんだが、しかし日独間の親善に役に立てばいいと思って進行中です、と私は申し上げた。


 それでいよいよできる時になりますと、リッペントロップの事務所で調印するんですね。こちらは武者小路さんですけれども、ドイツはリッペントロップが、その時はイギリス大使になって出ていったんです。出ていって、イギリス大使として帰ってきて調印したんです。外務省は関係ないんです。それだからドイツの外務省の友人に言わせると「これは私生児だ」と。ドイツ外務省は関係しない条約。しかし実際には外務省の条約局長なんかは条約文の事については相談に乗っている。条約文にはやはり関係しています。ノイラート外相は全然関係しなかった。後で関係者の叙勲になって、ゲーリング、これは党員だから、陸海軍長官を出さなきゃおかしいじゃないか。秘密協定で軍事条項が入った。陸海軍長官に旭一(勲一等旭日大綬章)がいった。レーダー元帥が笑いながら、「日本の旭一は実にきれいな勲章だ、いい物頂いた」と言っておられたくらいですが、そんな事で。


 その時に一人、特殊な人で勲章をもらった人がいた。ミュンヘン大学の教授で地政学の方ですね。陸軍少将です。これが、ヘス(ルドルフ・ヘス)の先生だったものだから、ヒトラーに始終日本についての話をしてくれていた。彼のおかげでヒトラーが非常に親日になっているというので、彼にも一つ勲章をやった。後に地政学の事で陸軍と関係が深くなったのですが、彼にも勲章をやりまして、ヒトラーが親日になった事はこの人の力ではないかという事です。ハウスホーファー教授です。これは陸軍少将でしたが、ドイツの測量関係が主で、日本にも来た事があります。全世界の地図を作る事に関係した方で、「地政学」(Geopolitik)という本を書いています。日本に「地政学」で彼は有名になりました。陸軍少将で同時にミュンヘン大学の教授でした。


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