『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
保科 いやあ、僕はね、十八年の五月十五日にね、内命を受けてね、それで、兵備局長を拝辞したら、一つ和平工作をやろうと思い、海軍省と軍令部の課長を一四名ばかり連れて、第一線の視察に行く。名目はそうですけど、実はトラックにおった連合艦隊長官の古賀(峯一・兵34)大将に会うのが目的。それで、和平に対する古賀大将のご意見を聞くのが主体であった。
ところが、ちょうどラバウルにおる間にね、アッツが落ちたっていう事で、至急帰れっていう電報を受けて、帰ってみたら、岡(敬純・兵39)軍務局長がヴェネカー(駐日ドイツ海軍武官パウル・ヴェネカー)を通じて独ソ和平工作をしたわけ。