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[証言録]海軍反省会 3
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歴史
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【有田発表 魚雷戦の構想と成果】魚雷戦の構想

『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成 [発行]PHP研究所


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有田 それじゃあ、今日は急に少し時期早められたんで殴り書きのものですが、書いてきました。それを説明するように簡単に申し上げます。


 私は、昨年夏頃、土肥さんからこういう会があるから、水雷屋がいないからお前出てくれという事で、なんとなく来る事は来たけれども、この会が一体どういう事で成り立っているのか、どういうやり方してるのか何も知らなかったんです。それで、少し出てきた後、野元さんから「太平洋戦争海軍反省録」なんていうそういうコピーと、反省会を反省する、というプリントをもらいまして、そこでだんだん何とかその会がだんだん分かってきまして。ただし、それをもらった時期には私、分担は何にも書いてなかった。まぁ、私は出てきて何か参考になるだろうというくらいで、聞かれたら何か答える、そのくらいのものと思ったんですけれども、そしたらこの間改めて、水雷っていう分担を与えられた。というような所で、どういう事を言っていいのか本当言うとまだよく分からないですけどね。それで考えて、結局戦争の所を回想して、水雷術関係の反省事項を述べる事にしたんです。


 ところで、水雷術っていうと実は非常に広いんです。魚雷、爆雷、機雷、なんでもわけの分からんようなものはみんな水雷という所に入っている。これを使うのが巡洋艦なり、駆逐艦なり水雷艇、潜水艦、また航空も魚雷使うでしょう。という非常に広いんですが、その一般には元から水雷戦術というと、水上艦艇の魚雷戦が代表してくるんですよ。それで、私の経歴から申しますと、艦隊の、第二艦隊とか水雷戦隊とか、こういう幕僚と、その前は私は少尉になったばかりから駆逐艦に乗った。駆逐艦、巡洋艦。最後に戦艦扶桑の水雷長。それと、その合間に水雷学校に帰って教官を三回。それでまぁ、そんな私の関係もあり、水雷術という事に関するものですが、結局艦隊の水雷部隊の魚雷戦っていう事に絞って、それについて私の経歴から水雷屋といわれています。水雷屋といっても、それで、今申した通り、艦隊にばっかりいたんで、両舷直の水雷屋だと自分でも思っている。


 その立場で、主観的な所見を述べる事にしました。そのつもりでひとつ。だから水雷術といってもほかにたくさんあるんですが、そういうのは私ではやり切れない所がたくさんあります。それを先にお断りしておいて、それで今言った事について、まず戦争を振り返るについて、最前線水雷戦隊、水雷部隊、今言いました艦隊の水雷部隊、これがどういう程度になっておったか、どういう主張を持ってみんなそれによってやったのか、そういう事を砕いてよく、まずそろえてないと戦争中のやり方について反省するにしても、そこら辺にもとがあるのかどうか分からないと思います。それで、戦争直前までですが、前からこれはもう、海軍のっていうか連合艦隊っていうか、あえて大作戦方針で即戦即決して、にわかに敵の渡洋艦隊の来航を促して、大作戦の、この主張に基づいて敵を撃滅する。艦隊の水雷部隊全般は、私がそう思ってたんですけれども、これはもう、だいたい水雷屋はみんなそういうものだと思ってた。この決戦で、水雷の役割をいかんなく完遂するをよしとした。戦時も演習訓練もすべてこれの一点に絞ってやったと。それで、真剣な努力をした。


 それで、その時の艦船、兵器などはどうだったか。それは訓練をどの程度にしとったのか。その決戦時のだいたいの兵術の構想といいますか、そういうものはどういうふうに考えておったんだろうか。だいたいにおいて、艦船、兵器はその艦隊決戦において、だいたいある程度満足するものになっておったと思います。それから、特に平時で九三(式)魚雷、酸素魚雷ですが、これが昭和十三年に部隊に供給され始めます。それが非常なその後の訓練のやり方等に、非常な自信ができました。それから後に書いてあります、魚雷戦の構想と書いてありますが、そういうやり方もこの九三魚雷を、どういうように活用していたのか。それで一応これを上手く活用すれば目途がつくという事で、この構想でもってやっていきます。訓練もみんなその構想に基づいてそれができるように魚雷戦の訓練はやっていくわけです。それで、訓練をその構想に基づくという事がちゃんとできるようにできております。


 それで、大戦の前、十六年前半までにはこれで、こういう事になれば我々水雷屋はこのやり方で必勝の信念を持っていた。その程度までいったと思います。それでは、一つ付け加えますが、敵がそのように思うように、こっちの所望の時に上手く誘致されるかどうか、されたとしてもまずずっと、思う時期に、思うような時に上手く持ってこられるか。これには潜水艦の(つい)(じよう)触接っていうのがあるんです。それはもう、信頼してましたね、大いに。それがなければ、難しいなぁっていう考えを持っていたんです。それと、航空機の発達があったしね。このやり方は結局、制空圏下の条件が付いてる。簡単な方針としての。これがなんかこう不安があってね。これは余計な事かもしれませんけど。それが上手くいって、上手くいければ水雷部隊だけでもって決定的の打撃を与え得ると、与えるんだという必勝の信念ができてる。それなら、水雷、魚雷だけで結局結末をつける、という事は決して考えてない。結局、元通りの大艦巨砲主義に。最後の結末はどうしたって魚雷だけじゃ駄目だ。それは、そんなたくさん持ってるわけじゃないし。残敵なんかに対するものはなくなってるはずなんです。そういう事からして、結局最後の結末をつけるのは、やっぱりまぁ大砲だろうと。こういう考えです。


 それで、その場合の構想ですね、魚雷戦の構想、どうだったかというと、これを丁寧に述べますと、さっき申しました、野元さんの反省会の意見、あれに書いてありましたようにレクチャーみたいになるんじゃないかと思いますんで、そしたらあの詳しい説明は略します。今、だいたいの所申しますと、先ほど申しました昼間決戦において、まず九三魚雷を活用して、遠距離、隠密の発射をまずやる。要するに戦隊の前に、戦隊の方向の先頭に着きましたらそこで予令して、(味方)戦隊の前六〇キロですか。六〇キロくらい離れた所でまずやる。続いて第二撃。それがちょうど着く頃に主隊の主力の砲戦が始まる。始まる時にはその魚雷が届いておって、恐らく一隻ぐらい被害を与えられる。これが非常な頼みだったんです。これが昼間魚雷戦。夜間でも、この九三魚雷をやっぱり隠密に発射して、戦艦部隊の突撃前にちょうど届くように発射する。その混乱に乗じて恐らく敵も厳重に警戒してる。なかなかそれを攻撃部隊にとっても、これを突破して水雷戦隊やなんかの突撃かなんかあって非常に難しいのです。


 それと突撃部隊に高速戦隊金剛クラス、これを大いに、どんどんつける。これは小澤(治三郎・兵37)さんなんか非常に言っておられた。小澤さんは、本当言うと、もう少し積極的で、そんな自分の思う通り、なかなか敵は来やせんのだから、とにかく捕まえて、夜戦でもなんでも最初からでも、全軍入らにゃいかんのだと。夜戦を大いにやらないかんと、こういう事ですね。その思想です。差し当たりはとにかく、高速戦艦も夜戦に参加。そういう事で、まぁそうですから夜戦部隊も、非常に大規模な夜戦部隊を作った。


 それで魚雷は当たれば非常に大きなダメージが与えられますが、海上を監視されるという事があるので、分かったらみんな避ける。黛さんが言ったみたいに、主砲が命中率いくらとか、そんな事はちょっと魚雷では言えないんですね。


 それで昼間はとにかく隠密発射。幸いにして酸素魚雷は航跡がない。とにかくもう分からない。今度、そばに来た時によけるのは航跡がないから、非常に効果的。それを非常に頼みにして成り立っていた。夜戦では回避されるのを防ぐために包囲配備をとっていたわけです。どっちに敵が回避しても包囲配備でどれかが当たる。それが更にですね、両側からやりたい敵だけに隠密に遠距離魚雷を撃ったんですね。それが(主力の)突撃直前くらいに敵艦に到達する。だいたい主な所はそういう事です。それで次ですが、大規模な夜戦も水雷のこれこれを使うこのやり方も、こればかり目標にしてやっておりました。これが後で実戦の場合はこういう状況は出なくて、全く魚雷戦の様相が変わったんです。それが良かったのか悪かったのか、これは後で申し上げます。それが主な反省の所です。


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