『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
土肥 えー、それではただ今から第二十九回反省会を始めさせて頂きます。今日は黛(治夫・兵47)先輩が非常に膨大な資料をお書き頂いて、これ私拝見しました。そうしますと大変懇切丁寧に書いてございますので、多くの方はこれをご覧になれば内容がお分かりになるはずでございます。ここで大変黛さんに失礼でございますが、なるべく時間を詰めて頂いて、読めば分かるというような所は省略して頂いて。と申しますのは、今一番私共の頭にありますのは、池田清(兵73)君の書いた「海軍と日本」(一九八一年、中央公論社)という出版物。これの中に色々と間違いがあり、我々の気に食わない事が書いてあります。これをこのまま放置しますと、池田君の社会的地位とかその他色んな関係からどうしてもこれが大東亜戦争に対する海軍の定説になりかねない。したがって、これを、これに対して我々としては何としても、こうでなかったんだという事を言いたいわけでございます。これについては(海上自衛隊)幹部学校でも大変問題にいたしまして、そして中山定義(兵54)君が今これに対する反論を書きつつあります。これは五月号の「波濤」に載るはずでございます。それで中山君に言わせますと、こういうものが定説になってしまえば昔の海軍のイメージが変わってくると。とんでもない事であるというので、今一生懸命書いているようです。そういう問題についてみなさんからも大分資料を頂いておりますが、この次の機会にディスカッションをさせて頂きたいと。で、大井(篤・兵51)さんも大変ご熱心に色々のご意見をお持ちのようですから、この次の機会には大井さんを中心にしまして、この「海軍と日本」のディスカッションをやるというような予定にさせて頂きたいと思います。それから今後の予定につきまして一つお願いがありますが、私自身が今この事務的な事をお手伝いしておりますが、どうも手に負えなくなりました。そこで私の(財団法人史料調査会)海軍文庫に今勤めております戸(一成・編者)という男をアシスタントに使わせて頂きたいと思いまして。今日は連れて参りませんでしたけども、この次くらいからこの席に座らせて頂きたいと思っております。じゃ、ひとつ黛さん、始めて頂いて。