『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
鳥巣 色々伺いましたが、私も大井君が言った池田清の本もざっと読んだんですよ。確かに説得力を持った一つの出版だと思います。ですから、その影響も大きい事は確かです。ただ、私陸軍のやつとよく話をするんですが、お互いに陸海軍の恥部を出し合って、そして反省しなければ本当の反省にはならないという事。それはかねて話してきたわけですが、今度中原茂敏(士39)大佐、軍事課に長いことおったが、それが出した「大東亜補給戦」(一九八一年、原書房)これにね、日本の国力っていうのを、あらいざらい恥部を出しているんです。これ私も読みましてね、これほどまでじゃなかったと思っておったんですが、それに結論的に言いますとね、昭和十三年から国力がどんどん落ちている。そして十四年、十五年と、そしてもう、最後の二カ年すぎた頃になるともう終戦に近い頃になると、国力はゼロだと言っておるんです。はっきり表で出している、ゼロの所に持ってきているんです。例えば船舶一〇〇万トンとして製鉄は一年一〇〇万トン、数は今はっきり覚えていないですが、もうとにかく力ね、反発力どころじゃない、戦力はなし、ゼロと言っていいわけです。