『[証言録]海軍反省会 3』
[編]戸高一成
[発行]PHP研究所
内田 基本的には私は大井さんに賛成ですが、こういう事を言いたかった。それはあの大井さんが幕僚の時に、南部仏印進駐で、陸軍を蹴って引き下がられた、珍しい例でありますけれど、ああいう喧嘩がですね、明治時代からずっと続くような内閣、陸海軍大臣であったら、大東亜戦争も起きなかったであろう、というのが、私の見方でございまして、及川(古志郎)さんが、その時陸軍に、どうしろということは、もう少し言われても良かったと思いますが、陸海軍のウエイトと言いますか、陸軍は、海軍の言う事を聞かなくては、何もできないという気持ちにさせるような努力が、歴代海軍大臣の中にあったのか、なかったのか。及川さんが、あの時に言われてもですね、私は、終局的には、戦争はやらなければならない状況に立ち至ったと思っております。