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貧困とセックス
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政治・社会
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全然マイルドじゃない地方の貧困

『貧困とセックス』
[著]中村淳彦 [著] 鈴木大介 [発行]イースト・プレス


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鈴木 地方と都市部のどちらが危険かというのもナンセンスではないですか。両方をきちんと見るべきところなのに、地方と都市部の対立のように見られているのがおかしいんです。地方は地方で、地元の互助コミュニティーはけっこう面倒臭いし、そこに入れない人は目も当てられません。いわゆるオタク差別も根強いです。低い所得で工夫して生きていくのは、地元の友だちとの助け合いのなかでこそ可能なわけだけど、たとえばそこに親の介護が入ってしまうと、一気にどん底の貧困に陥りかねません。そんなリスクもあって、地域コミュニティーも全肯定にはほど遠い、あやふやなセーフティーネットなんです。ここで地方の構造について話していいですか。
中村 イメージがしやすいように、北関東あたりを想定して聞こうか。
鈴木 属しているコミュニティーにもよりますが、マイルドヤンキーなどと簡単に言われるけど、たとえばA社という製造業の会社があります。その本社の周辺は企業城下町のA市です。すると、A社の近くにA社で働くA市以外から来たホワイトカラーが新興住宅地を形成して居住します。そのまわりにもともとのA市民や兼業農家、A社で雇用されている市民がいます。おそらくマイルドヤンキーはそのあたりです。この子たちに「マイルドヤンキー」と言うと、「私らはヤンキーじゃないし」と言われて、じつはガチのヤンキーはA社で働く短期工や下請けの派遣が住む公営団地や賃貸にいる子たち、いわば単純労働者二世。
中村 その地方のコミュニティーから抜け出して都市部に出てくる人たちもいる。そして、都市部で貧困になる人がたくさんいるじゃん。
鈴木 そこで都市部に出て挑戦しようとするのは、主にA社の正社員の子弟が住む新興住宅地の出身者なんです。もともと地元に残り続けるマイルドヤンキーからすると、こういうホワイトカラーの子はあまり学生時代は目立たなくて、スクールカーストのなかでは下のほうで、彼らが東京に行くのは「地元を捨てる」行為で、それで失職して貧困に陥ると、それは「ざまあみろ」なんです。出戻っても孤立して、ここで血縁者からの支援もなければ、貧困リスクに直結です。痛感するのは、地方の貧困は個別性が高くて、簡単にパターンにハマらないことです。おそらく貧困についての報道が都市部に偏っていて、地方の貧困は想像もつかないというのは、都市型の貧困のほうがシンプルで想像がつきやすいからなんですよね。
中村 貧困問題が世間に明るみに出たのは、二三歳の壁という説がある。リーマン・ショックで親世代が失職して高校をやめざるをえなかった子どもたちは失うものが何もなくて、高齢者をターゲットにエグい詐欺をしているという話は、この前に教えてくれたよね。
鈴木 それを僕が言ったのは二〇一五年ですから、二〇一六年では二四歳の壁です。たしかに、この年齢の前後で若い裏稼業の子に大きな壁を感じます。二四歳の壁以下の裏稼業の子には、僕や淳彦さんのような第一次就職氷河期世代がバブル世代のど真ん中に対して持っているルサンチマンに近い感情を、いま二五、六歳以上の人たちに対して強く持っています。これは規制強化のなかで裏稼業でも食えない時代に入ってきて、それこそ初期の特殊詐欺犯罪でバカみたいに稼いだ先輩たちが上に君臨しているのにイラついているという部分もあるんですが、実際に大卒の闇金スタッフや大学中退の詐欺のプレイヤーは、その世代から一気に増えた感じがあります。一〇代なかばで経済の底が抜けて、キラキラで騙してくる大人の裏の顔も透けて見えて、頭のいい子がどんどん裏稼業に入ってきました。ものすごく長い歴史を重ねて、ついにいまの最悪の状況を迎えたという感じがする。
中村 やっぱり、どう考えてもお金が足りない。このまま消費税がどんどん上がると、もっとひどくなる。
鈴木 やっぱり結論としては、法人税の累進課税化か、資本家に富が集約しないシステムをつくることと、それを国が再分配することですよね。
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