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子どもたちを苦しみから救うには

『貧困とセックス』
[著]中村淳彦 [著] 鈴木大介 [発行]イースト・プレス


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中村 家出少女は、とにかく都市部の繁華街に集まる。過疎地のような田舎だと地域のつながりや監視もあるし、そこまでの家庭崩壊はしないのかな。シャッター商店街があるような中途半端な地方がいちばん荒れているように見える。
鈴木 たしかに、東京で家出して売春している女の子たちでも、だいたい初めての家出は地元の都市部で、そこですでに売春を経験したり、または地元にそもそも同世代のコミュニティーのなかで発達した売春斡旋の文化があったりします。そこを経験して、最後に東京という流れがほとんどです。あちこちの地方の貧困者が都市部に流れてきます。ただ、一回、都市部に出て、セーフティーネットとして性産業を利用すると、そこでダメになったときには本当に何もなくなっちゃう。北海道、東北出身の女の子って、けっこう詰んでいる子が多くないですか。
中村 昔から東京で売春する女の子は、東京より北か東の子ばかりだよね。単純に西になると名古屋や大阪、九州以南だったら福岡が吸収しているからだけど。
鈴木 北海道や東北から紆余曲折を経て東京に家出して、東京で売春して、未成年のうちはなんとかなっても、プロのセックスワークでは食べていけない。さらに、友だちもできなければ完全に孤独で詰んじゃうパターンです。だいたい、こういう子たちは微妙に地元の近い友だち数名で固まるんだけど、そこから外れたら、もう完全に孤独です。孤独のなかでメンタル的な問題も始まって……という。
中村 北海道や東北の子は、回転系(複数の女性からサービスを受けられる)のピンサロとか、低賃金で重労働の性風俗を支えているイメージがある。情報が少ないからだろうけど、カラダを売っても、その価値を生かし切れていないよね。気の毒になることは多いかも。
鈴木 その層の子は継続取材が難しくて、売春ワークでも下のほうでなんとか生きていく感じで、どうやって抜けたのかまで追えたことはほとんどないです。最終的にセックスワークの世界でも、もう被害者としてしか生きられないようになれば、婦人団体に駆け込んでいるのかな。
中村 婦人保護団体の人は売春憎しから抜け切れない感覚がわからないの。北海道や東北の子たちが、売春がなかったら詰まなかったのかって、そうじゃないと思う。売春や風俗は市場規模で二兆〜三兆円くらい、AVなんかとは二桁違うわけ。その金額の再分配がされている産業をつぶしたら、あなたたちがその二兆〜三兆円を()(てん)してくれるのかという話になる。
鈴木 いわゆる婦人保護事業に関しては、ターゲットが成人女性だったりしますので、児童福祉分野の未成年は別になります。東京の婦人団体界隈の人が売春をつぶすと、未成年は地元の虐待を受けた親の元に戻る。それでは意味がないので、児童福祉と婦人保護事業の横のつながりも必要だし。セックスワークで生きてきた人にとっては、セックスワークの世界よりQOLを満足させられるシェルターをつくらないと意味がないですね。
中村 そうだね。まずそこだね。
鈴木 婦人保護事業の人たちも、公的なシェルターの人たちも、大前提は善意の救済者ですから、自分たちがつくれるシェルター的な事業が女の子たちにとって肌触りが悪いことぐらいはわかっているんです。携帯を手放さないといけない、スカウトやホストと手を切らなければいけない、規律正しい集団生活を強要される。そういうルールが必要になるなかで、逃げちゃう子もいるわけです。貧困者の支援の本来の目的は貧困者のQOLを上げることがあって、それによって食い扶持を奪われるのは、そもそも論がズレています。セックスワークを違法化するのではなく、セックスワークをする人たちの選択肢を増やす支援ならいいんです。住み込みで働ける就業先を探すことや、とりあえず急場で駆け込んで泊まれたり、休めたり、法律相談ができたりする立ち寄り型のシェルターとか。支援者サイドに当事者性がなかったことが、この距離感を呼んだわけで、最近はそういう当事者のなかからの動きも活発になってきてはいますよね。
中村 代替案を挙げて選択肢を与えるってことね。
鈴木 そうです。大上段に「そんな仕事は違法だからやめなさい」と言っても、彼女たちは逃げていく一方じゃないですか。売春やセックスワークをブラックにしてしまうのは是か非かという以前に必要なのは、いま苦しいと言っている子たちのQOLを直視することかなと思います。
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