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田中角栄と越山会の女王
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ルポ・エッセイ
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上京、東京大空襲、そして終戦

『田中角栄と越山会の女王』
[著]大下英治 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:11分
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 昭和十九年四月、昭は、県立柏崎高等女学校四年生になった。


 日本の戦局は、いよいよ厳しくなっていった。中部太平洋のサイパン島の日本軍守備隊残存兵力約三千名が、この年の七月七日、アメリカ軍に万歳突撃を敢行。翌八日までに(ぎよく)(さい)した。


 二学期がはじまると、ついに柏崎高等女学校の生徒たちまで、徴用されることになった。昭たちは、柏崎理研ピストンリング工場に出向いた。


 たいていの女生徒は、旋盤工として働かされた。が、昭は運がよかった。上級学校進学希望者は、コンクリート三階建ての建物で、気泡管の検査に従事させられたのである。硝子(がらす)の管を研磨し、エーテルを気泡にして、その動きを検査する仕事であった。


 検査室の人が説明してくれた。

「これが、高射砲の照準器になるんだ」


 その人は、誇らしげに自慢していた。しかし、昭には疑問であった。

〈こんな簡単なもので、敵機を狙うというの。これじゃあ、とてもB29を撃墜するなんて、できるわけないわ〉


 アメリカ軍の最新鋭機であった大型爆撃機B29は、日本の都市を容赦なく爆撃し、恐怖の的であった。


 来る日も来る日も、(さつ)(ばつ)とした兵器をつくるための日がつづく。昭は、いくらお国のためとはいえ、嫌で嫌でたまらなかった。

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