『田中角栄と越山会の女王』
[著]大下英治
[発行]イースト・プレス
昭は、昭和二十七年十二月一日、千代田区永田町にある第一議員会館の田中の部屋に顔を出した。当時、議員会館は、第一から第三にまで分かれていた。その各議員会館のなかもまた、一号館、二号館と、いくつかの棟に分かれていた。ひとつの棟は二階建てで、二十人ずつ部屋をかまえていた。田中がいたのは、第一議員会館二号館の、二一〇号室であった。
第一議員会館は、大物が揃っていた。一号館には、佐藤栄作、池田勇人、益谷秀次、林譲治ら。田中の入っている二号館は、首相の吉田茂、綱島正興、福永健司、永山忠則、黒金泰美らがいた。