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「新」怪奇現象41の真相
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エンタメ
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 21 太陽から給油する超巨大UFO

『「新」怪奇現象41の真相』
[著]ASIOS [発行]彩図社


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【NASAの太陽観測衛星が異星人の母船の撮影に成功!?】



 伝説


 世界の宇宙開発をリードするNASA。そのNASAがまた、とんでもない映像の撮影に成功した。太陽から給油する超巨大UFOの姿をとらえたのである。


 公開された映像は太陽観測衛星(※①)によるもので、太陽の近くに浮かぶ黒い影のような丸い物体がたしかに確認できる。それだけでなく、巨大UFOが太陽から何か黒いものを吸い上げている姿まで撮影している。これはUFOが太陽から給油──石油でないにしてもなんらかのエネルギーを吸収しているところを収めた、決定的な瞬間なのである。




 だが、NASAはこの映像について相変わらず口をつぐんだままだ。そうまでして情報を隠すということは、このUFOはNASA、アメリカ政府公認で地球で活動する宇宙人の乗り物──その大きさからして母船の可能性がある。



 真相


 太陽に絡んだUFO関連の話題は、実際のところかなり多い。そしてたいていの場合、それは太陽観測衛星の映像や画像がきっかけになっている。


 だが、そうした映像を見る際は注意しておかねばならないことがある。太陽観測衛星は、私たちが普段目にする可視光線とは別の波長で観測を行っている。そのため、記録された太陽の姿も、私たちがよく知る太陽とは違っている。そのことを頭に入れておかないと、とんでもない解釈をしかねない。


 ここで取り上げる「太陽から給油するUFO」も、もとになったのはNASAが打ち上げた太陽観測衛星「SDO」の画像(映像)である。


 SDOとは「Solar Dynamics Observatory」の略で、日本語に訳せば「太陽活動観測衛星」ということになるだろうか。太陽で起きる様々な活動を観測するために2010年2月に打ち上げられ、2015年9月現在も観測を続行している。


 SDOには3つの観測機器が搭載されている。極端紫外線(※③)で太陽を観測するEVE、磁場を測定して太陽の振動(日震という)を観測するHMI、EVEより幅広い紫外線・極端紫外線を観測できるAIAである。


 せっかくなので、UFOが映っていると話題になったYouTubeの映像を見てみよう。


 タイトルに「AIA」とあることから、これはSDOのAIAの映像である。画面には日付も入っており、2012年3月11日(※④)に行われた観測であることがわかる。


 映像を確認してみると、たしかに太陽の近くに黒い物体があり、太陽からエネルギーを吸い上げているように見える。


 だが、こういった映像は静止画をつなぎ合わせたものがほとんどであり、実時間での状況を表していないことが多い。実際、この映像も撮影年の隣に撮影時間の表示があるが、それが猛烈な勢いで進んでいる。これを実時間に合わせてスロー再生してみれば、何かを吸い上げるUFOの姿はまったく違ったものになる




 また、色についても気をつける必要がある。


 AIAは紫外線の領域で観測しているが、ご存知の通り、紫外線は人間の目では感知できない。極端紫外線もX線も目に見えるものではない。では、なぜそれらの領域で観測した映像が見えるのかというと、それは人間の目で確認できるようにデータを処理しているからである。そうしてできた映像にUFOのようなものが映っていても、それはあくまで処理されたからそう見えるだけで、実際は存在していないこともある。


 では、そもそもこの映像は何なのか。残念ながら、太陽観測の専門家ならこの映像を見るとすぐに「ああ、あれか」となってしまう。


 この映像は、ポーラー・クラウン・プロミネンスという現象をとらえたものである。


 プロミネンス(※⑤)とは、太陽の表面から出てくる磁力線に沿って、太陽の大気(彩層という)の一部が、上層の大気であるコロナに向かっていくように見える現象のことをいう。日食のときに、太陽の表面から巨大な炎のようなものが立ち上る画像や映像を見たことがあるかと思うが、まさにこれがプロミネンスである。


 プロミネンスは、太陽表面から出てくる磁力線によっていろいろな形をとる。その中には、ちょうど空隙のように黒っぽい部分(「キャビティ」という)ができることもある。黒っぽくみえるので不思議に思うかもしれないが、よくある太陽表面の現象であり、宇宙船でも何でもない。




 問題の動画も、SDOがとらえた、たまたま黒っぽく映っていたプロミネンスの活動をUFOだと思い、リアルタイムで撮影されたものでないことを忘れ、太陽からプロミネンスが噴き上がる(※⑦)のをUFOの燃料補給と考えてしまったのであろう。


 太陽表面の現象の専門家で私の友人でもある、国立天文台(※⑧)の矢治健太郎さんに調べてもらったところ、このときの太陽活動はかなり活発だったようで、論文まで出ていた。しかも、その論文は今回のネタとなったSDOのAIAという機器のデータを使っている。何か学術的に面白いことが起きていたことは確かだが、宇宙船というような意味での面白さではないということだ。


 太陽に限らず、こういった宇宙の探査機がとらえた映像をみるときには、私たちが肉眼でみているものとは異なっている(場合が多い)ということに注意する必要がある。

「アポロは月に行っていないのではないか」という疑惑の時もそうであったが、宇宙の映像・画像を地球上の常識だけで早合点して解釈してはならないのである。

(寺薗淳也)




   ■参考資料:


    YouTube「black sphere near sun 01」(https://www.youtube.com/watch?t=20&v=jAhpj0_IF8M)


    YouTube「black sphere near sun 02」(https://www.youtube.com/watch?v=8eWh8mIX-DI)


    Metabunk.org「Debunked: Giant Black Sphere Hovering Near the Sun」(https://www.metabunk.org/debunked-giant-black-sphere-hovering-near-the-sun.t469/)


    NASA/GSFC「SDO – Solar Dynamics Observatory」(http://sdo.gsfc.nasa.gov/)


    Cornell University Archive「Yingna et al., Magnetic Structure and Dynamics of the Erupting Solar Polar Crown Prominence on 2012 March 12」(http://arxiv.org/pdf/1505.06826.pdf)



※①太陽観測衛星

太陽を研究するために打ち上げられる人工衛星。アメリカの「SOHO」が代表的だが、日本もNASAなどの協力を得て「ひので」を打ち上げている。


※②画像の出典

「black sphere near sun 01」(https://www.youtube.com/watch?v=jAhpj0_IF8M)より。


※③極端紫外線

紫外線の中でも、波長が10ナノメートルより短く、X線にかなり近い波長のもの。


※④2012年3月11

ただし、こういった科学観測はたいてい世界標準時で行われるので、日本時間とは異なる可能性が極めて高い。


※⑤プロミネンス

日本語では、紅炎(こうえん)とも呼ばれることがある。


※⑥画像の出典

NASAの観測衛星SOHOのホームページ(http://sohodata.nascom.nasa.gov/cgi-bin/data_query)より。


※⑦プロミネンスが噴き上がる

ちなみに、プロミネンスが急に上昇して吹き飛ぶ現象は「プロミネンス噴出」と呼ばれている。


※⑧国立天文台

1988年に設立された日本の国立天文研究機関。本部は東京都三鷹市。ハワイ島のマウナ・ケア山山頂にあるすばる望遠鏡をはじめ、国内外に観測所を持つ。


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