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「新」怪奇現象41の真相
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エンタメ
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 32 海岸に打ち上げられたドラゴンの死骸

『「新」怪奇現象41の真相』
[著]ASIOS [発行]彩図社


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【スペインの海沿いの町で発見された未確認生物の遺体】



 伝説


 2013年8月、スペイン・アルメリア県ビジャリコスの海岸に、奇妙な物体が打ち上げられた。それは半ば砂に埋もれており、発見者が掘り起こしてみると長さは4メートルほどにも達した。生物の死骸であることはたしかなのだが、奇妙なことに頭部と思われる場所に牛を連想させる一対の角が生えているのである。


 このような大型海洋生物は知られておらず、強いて言うなら伝説のドラゴンを連想させる。残念ながら死骸はかなり腐敗が進んでおり、元の形状が分からないほど崩壊が進んでいた。未知の生物だという説を唱える者もいれば、リュウグウノツカイ(※①)説、巨大タツノオトシゴ説を主張する者も現れたが、結局この死骸は詳しく調査されることもなく、衛生上の理由から埋葬された模様である。


 もしこれが未確認生物の物であるとすれば、我々の知らぬ深海に未知の怪物が潜んでいるという強力な証拠になったのではないだろうか。





 真相


 確かに写真を見ると、何らかの生き物の死体が海岸に打ち上げられている。


 しかもそこそこの大きさがあるようだ。だが、写真だけでハッキリ分かるのはそのくらいである。かなり腐敗が進んでいるとみられ、形状もよくわからない。


 なるほど、そういった意味では「正体は謎」ではあるが、だからといって、これが怪物の死体であると、わざわざ考えなければならない理由もないだろう。


 さて、本件の生物だが、観察してみるといくつかの特徴が見えてくる。


 まず尾と思われる部分だが、なにやらいくつかの突起が並んだような構造が肉からはみ出している。これは脊椎動物の背骨にみられる(きょく)(とっ)()の中でも、とりわけサメの尾びれの骨格に似ている。サメやエイは軟骨魚類と呼ばれ、脊椎まで軟骨で形成(※③)されている。サメの尾びれは太い脊椎の骨から軟骨が並んで突き出し、尾の骨格を形づくっている。その部分によく似ているのだ。


 また、写真の死骸は「グロブスター(※④)」とは違い、脂肪分が少ないように見える。サメはクジラなどの海棲哺乳類とは違い、皮下脂肪を分厚く蓄えない。この点もサメの死骸と考えれば説明がつく。


 さて、この生物の最大の特徴とも言える「角」だが、よく見ると単純に牛のように頭から生えているわけではなく、大きく破損した体の一部のようだ。実はサメには、このような形状をした骨がある。


 サメには胸びれが付着する「Pectoral Girdle」と呼ばれる、軟骨で構成されたU字型の構造がある。これが胸の部分に収まっていることで、内側から胸びれを支えているのだ。この生物の体の損壊具合から考えて、骨格が露出していることも十分考えられるし、写真にもヒレのような物が映り込んでいる。本当であれば、この生物の死骸を徹底的に分析するのが望ましいのかもしれないが、残された写真からその正体を推測した場合、「サメの腐乱死体である」という結論が妥当であるように思われる。




 なお、この手の「漂着した怪物」を発見した場合、体全体、体の各部の他、できれば頭骨の写真を重点的に撮影していただきたい。アゴ全体と歯(歯列)を複数の角度から写しているとなお望ましい。腐乱して怪物のような見た目になった死骸でも、専門家が歯列をみれば一目で正体が分かる場合もあるのだ。

(横山雅司)




   ■参考資料:


    IDEAL「Una 'extraña criatura' sorprende a los bañistas de Villaricos」



※①リュウグウノツカイ

アカマンボウ目リュウグウノツカイ科に属する深海魚。世界中の海に棲息しているが、生態については謎が多い。体は薄く細長く、最大で11メートルにもなる個体が発見されたことがある。


※②画像の出典

スペイン・アルメニアの新聞「IDEAL」のサイトより。


※③脊椎まで軟骨で形成

サメやエイなどの板鰓類(ばんさいるい)の骨格が他の魚と異なるのは、魚類の歴史の初期の段階で、後に現生硬骨魚類(サメやエイとは違って硬い骨の骨格を持つ魚)となるグループから別れて進化してきたためである。


※④グロブスター

ときおり海岸に漂着する、ぶよぶよとした肉の塊。サイズは様々だが、大きなものになると10メートルを超えるものもある。名付け親は、「オーパーツ」という造語をつくったアメリカの動物学者・アイヴァン・アンダーソン。その正体は、クジラの死骸などから剥離した脂肪の塊であることが多い。


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