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(2021/12/6 追記)

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新人OLひなたと学ぶ どんな会社でも評価されるトヨタのPDCA
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ビジネス
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CHAPTER 4 「ACTION」 カイゼンを続けていけば、ヒナ鳥だって世界ではばたける

『新人OLひなたと学ぶ どんな会社でも評価されるトヨタのPDCA』
[著]原マサヒコ [発行]あさ出版


読了目安時間:40分
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秋も終わりが近付き、肌寒い季節になってきた。自転車で走っていると、手袋をしているのに氷のように手が冷たくなる。車に乗っている人を恨めしく思いながら、仕事帰りの家路を急いでいた。


大通りの角を曲がったところで、前を歩くケンゴと玲子さんが目に入った。スタスタと早歩きで進むケンゴに対し、玲子さんが腕にまとわりつこうとしている。私があきれながら見ていると、たまたま後ろを向いた玲子さんと目が合った。彼女は私に気が付くと、少し勝ち誇ったような目をしてきた。

私は自転車を力強くこぎ、「お疲れ様っ」と言いながら2人の横をすり抜けた。「あ、ひなちゃん」と背後から聞こえたケンゴの声が、ちょっとだけ気になった。


玲子さんの勝ち誇った目が忘れられず、家に着くなり私は冷蔵庫を開いた。ネットでお取り寄せしておいたパンケーキを温め、口に放り込む。もはやヤケ食いだ。

ここのパンケーキは生地がモチモチしてて最近ハマっている。でも、またこんなもの買ってるなんてバレたら赤西先輩に怒られちゃうよなぁ……。

そんなことを思いながら、また一切れを口に放り込んだ。

◆動くのではなく働く

3カ月前に研修を受けたおかげで、ハイブリッド車を希望されるお客様にも難なく対応できるようになっていた。給料も赤西先輩に管理してもらっているのでしっかりごはんが食べられ、20日前後でもアクティブに動けるようになってきた。

それらが功を奏してなのか、私の成績は少しずつ伸びてきていた。ただ1点、まだ満足できない部分があった。希望ヶ丘地域での数字がいまいち伸びていなかったのだ。お客様に呼ばれる機会は増えたものの、それがどうにも数字につながっていない。

悩んだ末に私は、再び赤西先輩にアドバイスを求めた。


会議室のテーブルに軽く腰かけながら、先ほどから先輩は腕組みをしている。

「そうか、新車のメリットを感じてもらえたとしても、フツーに営業していてはダメだってことだな」

「はい、どうしたらいいでしょうか?」

赤西先輩は聞こえるか聞こえないかくらいの声で、「よし、いい悩みを持つようになってきたな」とつぶやいた。

「なんですか?」。私が聞き返すと、先輩が歯を見せながら言ってきた。

動くんじゃなく、働くんだな」

聞いた途端、私はワケがわからなくなった。動くんじゃなくて、働く? そんな一休さんの「とんち」みたいなことを言われても、私には何もひらめかない。

「動くんじゃなくて、働く……」

「まあ、あまり難しく考えずに、とにかく対応してみなよ」

そして私は、「よし、行ってこい」と事務所を放り出されてしまったのである。

11  と、言われても……。「動くのではなく、働く」って、どうするのかな?

「訪問した時、車以外の物品販売も展開してみようか」と思った人は、へ。

「訪問した時、ついでにお客様の悩みでも聞いてみようか」と思った人は、へ。

▼訪問した時、車以外の物品販売も展開してみようか

私は、しばらく考えてから自転車をこぎ始めた。

そして、ただ単にお客様先に足を運んで車の話をするだけでなく、車以外の商品についても勧めてみることにした。

あるお宅に訪問した際、「オイル交換は最近されましたか? あと、ワイパー交換とか。カーナビも最新型のが出たのでオススメなんですよ」とさまざまな物品を勧めてみた。

しかし、「車のことは主人がいないとわからなくて」「カーナビとか私よく知らないのよね」と言われてしまい、会話が続かずにその場を立ち去ることを繰り返した。

このやり方でもダメか……。


私は、またしばらく考えてから自転車をこぎ始めた。

そして、ただ単にお客様に車の話をするだけでなく、車以外の悩みについて聞いてみようと決めた。

私にも何か役立てることがあるかもしれない。


さっそく別のお宅に訪問した際、

「車以外のことで何かお困りのことはありませんか?」

と聞いてみたのだ。

すると、「車以外ですか? ……あっ、午前中にちょうどメガネが壊れちゃって困ってたんですよ。でも、そんなの車屋さんに言うことじゃないですよね?」

と言われた。

私は「ちょっと見せてください」と言ってメガネを預かった。

幸い、自分用にと、メガネの工具は持ち歩いており、ネジを締め直すことで修理してあげることができた。

「あら、直ったの? 嬉しいわ、ありがとうね」


→先へ進む


▼訪問した時、ついでにお客様の悩みでも聞いてみようか

私は、しばらく考えてから自転車をこぎ始めた。売り上げにつながるし、どうせなら何か売ったほうがいいのかもしれないな。

「いや、待てよ」私はペダルをこぐ足を止めた。

以前にアウトバウンドコールをした時も、こちらが売りたいものは見向きもされなかったはずだ。

そんなに都合よくこちらが勧めたものを買ってくれるはずもなく、徒労に終わった記憶がよみがえってきた。

「お客様が望んでいることは、必ずしも企業側が用意したもので解決できるワケじゃないんだ……」

と、その時思ったんだった。

そうか、ただ単にお客様先に足を運んで車の話をするだけじゃなくて、車以外の悩みについて聞いてみたらいいのではないだろうか。

私にも何か役立てることがあるかもしれない。


そして、さっそくあるお宅に訪問した際に、

「車以外のことで何かお困りのことはありませんか?」

と聞いてみた。

すると、

「車以外ですか? ……あっ、午前中にちょうどメガネが壊れちゃって困ってたんですよ。でも、そんなの車屋さんに言うことじゃないですよね?」

とお客様が口を尖らせる。

私は「ちょっと見せてください」と言ってメガネを預かった。

幸い、自分用にと、メガネの工具は持ち歩いており、ネジを締め直すことで修理してあげることができた。

「あら、直ったの? 嬉しいわ、ありがとうね」



私は行く先々で車以外の悩みを聞き回り、できる限りの対応をしていった。

お年寄りのお客様から電球を替えてほしいと言われたら、背伸びをしながら交換したし、草むしりをしてほしいと言われたらジャージに着替えて作業をした。あるお客様から犬の散歩を頼まれて自転車で連れ歩きながら、その地域をぐるっと走り回ったりもした。

そんなことを続けていたある日、電球を替えてあげたお客様から「息子が車を買い替えたいらしいから、相談に乗ってほしい」と声をかけられた。そして後日、息子さんと商談をすることになった。息子さんは他社ですでに見積もりを出されていたので、同タイプの車について説明をし、見積もりを出した。

そして、ほどなくして、その息子さんから受注をいただくことができたのだ。

納車日が来て、赤西先輩とともに息子さんの自宅に新車を届けた。鍵を渡す際に聞いた話では、息子さんが他社の車に買い替えようとしていたところ、「マンダの相沢さんという子から買いなさい。あの子なら何があってもきっと面倒を見てくれる」と言われたらしい。話を聞いたとたん、私は目頭が熱くなった。

社用車で事務所に戻る途中、赤西先輩が運転しながら言ってきた。

「受注が決まってよかったな」

「はい、ありがとうございます!」

私は前を向きながら礼を言った。赤西先輩が続けてくる。

「これで『動くんじゃなくて、働く』って意味が少しはわかったでしょ。働くってのは『にんべんを足す』、つまり人間としての知恵や行動を足して対応しろってことだよ。ただモノを売るだけなら、今の世の中、機械でもできるからね」

私は、ネットで注文したパンケーキを思い出した。確かに、今の世の中、ほしいものはほとんどネットで手に入る。

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