『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
ハリスンのインド滞在中、マッカートニーは都会人の暮らしを満喫していた。仕立てのいいジャケットとカラフルなネッカチーフを身に着けた彼は、情け深い伊達男よろしく社交界を闊歩し、偶然出会った人物にそれだけの価値があると思えば、惜しみなく褒美を──微笑みのこともあれば、数百ポンドの現金のこともあった──取らせた。彼は人に優しく、広い心で、礼儀正しく、気さくに接するように育てられ、映画のプレミアやチェルシーのサロンで彼に邂逅した人々も、まさしくそうした印象を受けていた。