『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
このころすでにロバート・フレイザーは、やがてレノンが「オレの導師」と呼ぶことになる人物──アレクシス・マルダスという若きギリシャ人発明家を、彼に引き合わせていた。のちにデレク・テイラーは、いくぶん笑いを含んだ声で、この男を「エディンバラ公とミック・ジャガーしか知らずにイギリスにやってきた天才」と評している。
後年の記述では多くの場合、なんら技術能力のない「TV修理工」のひとことで片づけられてしまうマルダスだが、実際にはティーンエイジャーのころ、科学の飛び抜けた才能を認められ、特別なアカデミーで学ぶ機会を与えられていた。そこで彼は見聞を広めるために、ヨーロッパを旅するように勧められた。