『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
一九六七年のはじめ、ハリスンの妻のパティ・ボイドは、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーがロンドンで開いた超越瞑想のセミナーに出席した。マハリシはビートルズの人生にぽっかり開いた、精神的な隙間を埋めるために作られたような男だった。もの静かで人当たりがよく、口元にいつも赤ん坊のようなクスクス笑いを浮かべていた彼は、叡智と遊び心の魅力的なミックスであると同時に、ビジネスのチャンスにもおそろしく目敏かった。瞑想の実践には誠心誠意、全身全霊で臨んでいたものの、西洋の裕福な若者たちに働きかけたいという気持ちも、それに負けず劣らず強かったのだ。