『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
三か月後、オノがタクシーでケンウッドに到着した。ショットンが代金を支払うと(レノンは女王のように、決して現金を持ち歩かなかった)、ふたりのアーティストは軽いお喋りをしはじめ、それはショットンがその真の意味に気づくまでつづいた。レノン=オノ神話がはじまるのはここからで、ふたりがレノンのホーム・スタジオに閉じこもり、はじめての実験音楽を共作したあと(その後、アップルからアルバム《トゥー・ヴァージンズ〔Two Virgins〕》としてリリース)、夜明けに愛し合ったという、しばしば語られてきたエピソードを裏づける証拠は、彼らの言葉以外に存在しない。
「すばらしかった」とレノンはつねづね主張していた。