クラインの「評判」の中には、レコード会社から現金を搾り取る、否定のしようがない才能が含まれていた。リー・イーストマンと同じように、彼は未払いの印税や、その他の「偶発的」なミスを見つけ出すことを、大の得意としていたのだ。

　そうした技術に磨きをかけていた五〇年代の末ごろには、マフィアともつながりがあった音楽業界の大物、モーリス・レヴィを説き伏せ、シンガーのバディ・ノックスとジミー・ボウエンに遅ればせながら印税を支払わせている。クラインの秘密兵器は会社の会計の微細なチェックと、抜け穴を見つけ出す会計士の目だった。