『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
翌日、レノンはアップルに姿を見せ、同僚たちにぜひともこの男と会うべきだと告げた。すばらしい男だし、この男なら彼らの問題を、すべて解決してくれるだろう。だがことはそう簡単ではなかった。少し前にクライヴ・エプスタインから、ビートルズが一〇パーセントの株を所有する兄の会社、NEMSを売却したいという話が来ていたのだ。
マッカートニーはイーストマン親子に意見を求め、ビートルズはNEMSを完全買収するべきだ、とアドヴァイスされていた。そうすればレコードの売り上げに対する歩合を、この会社に支払う必要もなくなるからだ。だが買収の資金はEMIから借りなければならない。