『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
グループが異議を唱えたのは、クラインがもっとも身近な側近ふたり、ニール・アスピノールとマル・エヴァンズを追放しようとしたときだけだった。だが実のところクラインは、今やビートルズと彼らの帝国を管理しているのは彼だという、一般の認知をほしがっていた。一九六九年の四月末に、彼は正式な合意書の草稿を作成した。ビートルズの法律顧問のひとりは、どんなアーティストでもこんな契約に署名することなどありえないと語ったが、彼はクラインに対するレノンの思い入れの強さを、計算に入れていなかった。
その契約は、「ビートルズおよびビートルズのグループ会社」を代表して──このフレーズはじきに、大きな法的論議を呼ぶことになる──ABKCO(クライン自身というより彼の会社)をアップル社の「独占的なビジネス・マネージャー」に任命していた。