『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
レノンの平和主義に気分を害した人々は、ジョージ・ハリスンの哲学にも同様に当惑していた。彼の生活の焦点はビートルズでも、家庭でもなかった。妻のパティは彼が、ますます引きこもりの傾向を強めているのに気づいていた。塞ぎこんでいたわけではない。単純に、心ここにあらず状態だったのだ。アップルでは積極的に、自分好みのプロジェクトに関わっていたものの──ビリー・プレストンのゴスペル曲や、ラダ・クリシュナ・テンプルのロンドン支部メンバーによるスピリチュアルな詠唱など──彼の想像力は物質界よりも、はるかに高いところに向けられていた。