『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
その場に何人のビートルがいようと、ビジネスが不和の火種となっている現実に変わりはなかった。ノーザン・ソングスの未来は相変わらず不確かで、レノンとマッカートニーはもしこの会社がサー・ルー・グレイドのATVコーポレーションの手に渡ったら、自分たちの出版権はよそに持っていくと宣言し、対立はさらに激化した。五月なかばの時点では、ビートルズもATVも過半数の株を押さえられず、どちらも手づまりになっていた。双方とも勝利を宣言し、だが双方ともそれを確たるものにはできていなかったのだ。
ビートルズとかつてのマネジメント会社のNEMS、そして国際投資銀行トライアンフ・インヴェストメントとの関係も、やはり厄介な局面を迎えていた。