『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
その場にレノンがいなかったのは、幸運だったと言うべきだろう。七月九日に復帰した彼は、一瞬、ひとりで姿をあらわしたかに見えた。だがその数秒後には、ヨーコ・オノがよたよたとした足取りでスタジオに入り、つづいてハロッズ百貨店から派遣された四人のポーターが、ガラガラとベッドを運びこんだ。オノはスコットランドの自動車事故で、まだ激しいむち打ちに苦しんでいたが、レノンは彼女もセッションに参加させるべきだと言って聞かなかった。