『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
じきに《マッカートニー》の売り上げは、クラインがまとめた編集アルバム《ヘイ・ジュード》のそれを上回ったが、五月になると今度はビートルズの《レット・イット・ビー》がそのアルバムを出し抜いた。イギリス一の売れ行きを誇る音楽紙「ニュー・ミュージカル・エキスプレス」には、「まるでやる気が見えない新作LP」という見出しが躍った。
レヴュー担当のアラン・スミスは《レット・イットビー》を、「しみったれた墓碑銘、段ボールの墓石、ポップ・ミュージックの顔を一から描き直した音楽的な統合の、悲しくも安っぽい幕切れ」と評した。酷評はそれだけにとどまらなかった──「ナルシスティックなピンナップと、チョコレートの箱のような装いで」、「今日のレコード購買層の知性を愚弄する」、「自尊心をなくし」、「自分たちが守ってきた主義主張をすべて売り払った」、「見栄えがいいだけの無内容な作品」。