『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
セッションの途中で、レノンは三〇歳の誕生日を祝った。一種の文化的イヴェントである。ただしその数か月前にスターキーが同じ年齢に達した際には、特に騒がれるようなことはなかった。ロック界のさまざまな有名人が、音楽でレノンにお祝いを言ってほしい、とアップルのマル・エヴァンズにアプローチを受け、その中にはスターキーとジョージ・ハリスンも含まれていた。このふたりは直接、彼にプレゼント*7を贈った。
同日、別れ別れになっていたレノンの父親、フレディが十代の妻と生まれたばかりの赤ん坊を連れて、予告なしに姿をあらわした。まるですぐさま原初の叫びを呼び覚ますために、仕組まれていたかのようなこの訪問は、レノンが父親に向かって暴力的な脅迫の言葉を吐き、人を雇って殺してやる、と叫んだところで幕となる。