読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1110641
0
ザ・ビートルズ 解散の真実
2
0
0
0
0
0
0
趣味
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
音楽によるチャリティ

『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット [訳]奥田祐士 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:4分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 一九七一年にバングラデシュで勃発した内戦は、八〇〇万人──ロンドン、あるいはニューヨークの人口──以上の難民を生んだ。これは二四年前のインド分割を機に、領土をふたつに分断されてしまったパキスタンの東側に当たる地域だった。西パキスタンと東パキスタンのあいだには一〇〇〇マイルにわたってインドが横たわり、物資の平等な配分を不可能にしていた。


 一九七〇年一一月に発生し、東側で二五万人以上の命を奪った凶悪なサイクロンが、そうした格差をさらに際立たせた。政府に対する抗議デモは厳しく鎮圧され、一九七一年の三月になると、それがとうとう国民の蜂起を招く。だが独立を求める彼らの運動は、容赦なく叩きつぶされた。


 何百万もの人々が、暴力からの避難場所を求めてインドとの国境を越えた。だが彼らを出迎えたのは、飢饉と水不足だった。人々は数千人単位で飢えはじめ、さらに三〇万人の民間人が、戦闘中に命を落とした。まさしく人道主義の出番となる大惨事である。だが西洋ではおおむね無視されていた。


 バングラデシュで生まれ育った有名人のひとりに、シタールの名匠、ラヴィ・シャンカールがいた。その夏のはじめ、彼は故郷の窮状をジョージ・ハリスンに説明し、募金集めのコンサートを計画中なのだと告げた。無理強いをしたくなかった彼は、ハリスンに司会をやってもらえないだろうかと持ちかけた。「ぼくがプレイしなくてもいいんですか?」とハリスンは応じた。


 ふたりの話が終わるころには、ロック史に残る博愛主義的な大イヴェントが、本決まりになっていた。「ジョージ・ハリスンと友人たち」のために、アレン・クラインがニューヨークの代表的なコンサート会場、二万人を収容するマジソン・スクエア・ガーデンをブッキングした。チケットの申しこみが殺到したため、ハリスンは一九七一年の八月一日に、昼夜二回のライヴをやることになった。


 ロックの慈善コンサートはこれが最初ではなかったものの、ここまでのスケールでおこなわれたことはかつてなかった。なにしろこのプロジェクトには、ライヴのステージに加え、アルバム、映画、そしてそれに伴うシングルも含まれていたのである。すべて、バングラデシュの悲劇に世界の目を向けさせることが目的だった。


 これは決してうかつな気持ちで挑めるようなライヴではなく、その大きな理由のひとつに、ハリスンのステージ嫌いがあった。六〇年代のなかばにツアーを嫌がり、最初に旅回りをやめようと言い出したビートルは彼だった。それ以降の彼はデラニーボニー、およびジョン・レノン率いるプラスティック・オノ・バンドのステージに飛び入りのゲストとして参加した経験しかなかった。しかし今回、呼びものになるのは彼の名前しかなく、かりにこれが失敗に終わると、単に評判を落とすだけでは済まされなかったのである。


 高等法院でビートルズの不和があらわにされたのは、わずか四か月前のことだったにもかかわらず、ファンの多くは彼らこそ、コンサートのポスターにある「友人たち」に違いないと考えた。ハリスンはさぞかし複雑な心境だったに違いない。ようやくソロ・アーティストとしての地位を確立したばかりだというのに、またもやビートルズの陰に霞まされてしまうのか?

「ジョージには自信が欠如していた」と友人のレオン・ラッセルはふり返っている。「彼のレコードにはいくつか参加したことがあるけれど、これで大丈夫と納得するまでに、ひとつの曲を一八〇テイク録ることも珍しくなかったからね。彼は決して、自分のしていることに満足しなかった」。自己防衛のために、あるいは単純にコンサートのインパクトを強めるために、ハリスンは結局、三人の元同僚全員に出演を依頼した。


 スターキーはふたつ返事で引き受け、ラッセル、エリック・クラプトン、ビリー・プレストンも同様だった。ハリスンは尻込みするボブ・ディランを長々と説得し、最終的には彼を、二年ぶりの表舞台に立たせることに成功した。「みんながみんな、出たがっていた」とアップル・レコードのアメリカ支社長だったアラン・ステックラーはふり返っている。「なにしろクロスビー・スティルスナッシュやローリング・ストーンズにもお引き取り願ったんだ」


この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:1737文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次