『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
レノン夫妻は突然、より急を要する問題に見舞われた。ふたりは一九六九年と一九七一年の即興的なパフォーマンスを収めたアルバムを、《ライヴ・ジャム(Live Jam)》、あるいは《ロンドン・エア&ニューヨーク・ウィンド(London Air & New York Wind)》なるタイトルでリリースしたいと考えていた。しかしアレン・クラインは、そのアイデアに強硬に反対した。一九七二年の春にレノン夫妻が政治的な曲を集めたアルバム作りを開始したときも、彼は同様に憮然としていた。
クラインはその理由を説明した。彼らがキャピトルと結んだ契約の条項によると、四人のビートルたちに二度目の印税率アップが認められるのは、一九七二年の秋までにリリースした最新のアルバム二作が、いずれも五〇万枚以上の売り上げを記録した場合に限られていたのだ。