『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
レノンにはさらなる重荷がのしかかっていた。依然として米国移民局の追及を受け、国外退去に対する上訴のネタも、そろそろつきかけていたのである。「連絡を取ろうとしたことがあるんです」と友人のゲイル・レナードはふり返っている。「すると彼のスタッフから『調子がよくないのでもうだれにも会えない』というメッセージが返ってきました」
その間に彼の結婚生活は、崩壊に向かっていた。創造力の枯渇に苦しむ彼のかたわらで、半年前に二枚組のアルバムを完成させたばかりのヨーコ・オノが十数曲のフェミニスト・ソングをレコーディングしていたという事実も、その流れに拍車をかけた。
今回、レノンはセッションから距離を置いていたが、オノに説得され、尻に敷かれた夫の役でカメオ出演することになった。