『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
けれどもひとつだけ、彼の手に入らないものがあった。「ポールはまたジョンと曲を書きたくてたまらなかったんです」とリンダ・マッカートニーは一九八四年にふり返っている。「残念なのはジョンとポールがどちらも問題を抱えていて、しかもおたがいを愛していたことです。あのふたりが連絡を取ってさえいたら、どれだけおたがいの助けになれたでしょう! それを思うとどうしようもなく、いたたまれない気持ちになってきます。だってその場に足を踏み入れたときのわたしは、ニューヨークからやってきたただの小娘にすぎなかったんです。ああ、今わかっていることが、あの時からわかっていれば……わたしはただその場に座って、ふたりのゲームをながめていることしかできませんでした」