『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
彼が死んだのは、おりしもビートルズには結局のところ、ロード・マネージャーが必要になるのではないかという見方が出はじめた矢先のことだった。ひとたびEMIとの契約が失効すると、彼らのもとにはそれまで以上に途方もない額で、再結成のオファーが殺到した。プロモーターのビル・サージェントは、一回のライヴで五〇〇〇万ドルのギャラをこの四人組に確約した。
ソロでプレイしても構わないが、最低でも二〇分は一緒に演奏する、というのが彼の出した条件だった。見返りにサージェントは、全世界で商業的な権利のいっさいを保有する。これはどう見ても、ビートルズの顧問弁護士たちが受け入れるとは思えない条項だった。