『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
ときおりレノンは、自分の創造力をよみがえらせようとした。一九七九年の末にはアンディ・ウォーホルのスタジオを訪ね、この巨匠のスタイルで、スクリーン・プリントを作ろうとしたこともある。しかし彼がダコタの外に出ることはめったになく、隣人のひとりが語っているように、「レノン夫妻が外出するとしたら、行き先は決まって日本」だった。
「外国人でいるのが楽しかった」とレノンは、オノの故国への訪問について語っている。それをのぞくと、彼らは実質的に透明人間と化していた。隠れ場所にはこと欠かなかった。オノは抜け目のない不動産投機家となり、レノン夫妻はデラウェア郡に複数の農場と、ロングアイランドに浜辺の邸宅、そしてフロリダに別荘を所有していた。