『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
その晩、九時ごろ姿をあらわしたデイヴィッド・ゲフィンにも、いっさい破滅の予感はなかった。「わたしが中に入ると、ジョンは笑ったり、跳び回ったりしながら踊っていた。『待ってろ、ヨーコのレコードを聞かせてやるから。ヒット間違いなしだぜ!』と言っていたよ」。ゲフィンは明晩、一緒に夕食に行かないかと誘ったが、その時点ではまだ、店を決める必要はなかった。
「彼は『ああ、そうだな』と言った」とゲフィンはふり返っている。「そしてわたしたちは別れを告げた」
「ふたりはなにか食べたいと言っていた」とはダグラスの回想だ。「ジョンはステージ・デリに立ち寄ってサンドウィッチを買い、それから家に帰るつもりでいた。