『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
時は過ぎ、世界は前に進みつづけた。ヨーコ・オノはレノンの最後の仕事となったシングル〈ウォーキング・オン・シン・アイス〉を発表した。それは彼が過去の残響に頼る代わりに、未来に踏み出そうとしていたことをうかがわせる作品だった。一九八一年六月、彼女は悲劇を色濃く反映した《シーズン・オブ・グラス(Season of Glass)》という、触れたたけで壊れそうなアルバムをリリースした。
「わたしのパワーとパーソナリティの八〇パーセントは、アーティストでいることです」と彼女はのちに説明している。「そしてわたしは生きなければなりませんでした。