『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
アップル帝国は二〇世紀の最後の一〇年間を盤石の構えで迎え、ニール・アスピノールは相変わらず、細かなところまで目を光らせながら、だれが相手だろうと一歩も退くことなく、この会社の業務を管理していた。会社の理念は今や、設立当初に掲げられた指針の対極に位置していた──ただしもともとアップルが独創的な節税対策として構想されたことを、覚えていなければの話だが。
個々のビートルの代理人は、依然として取締役会のメンバーたちが務めていた。ヨーコ・オノ・レノン、ジョン・イーストマン(この年に八一歳で亡くなる父親リーの後任)、デニス・オブライエン、そしてヒラリー・ジェラードという顔ぶれである。