『ザ・ビートルズ 解散の真実』
[著]ピーター・ドゲット
[訳]奥田祐士
[発行]イースト・プレス
いずれにせよこのグループは、あたかも彼らをよみがえらせようとする努力に対する反動のように、年齢と運命に足元をさらわれようとしていた。ビートルズのコミュニティには、無情にも癌が広まっていた──単なる空虚なメタファーではなく、冷然たる現実として。
最初の犠牲者は、一九九四年一二月のモーリーン・コックスだった。次いでリンダ・マッカートニーが、一九九五年に開かれたとある賞のセレモニーで不意に号泣し、あなたがいないと生きていけない、と夫に告げた。彼女の苦悩の理由は、その年の一二月に明らかになった。彼女は乳癌と診断されていたのだ。