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わが青春のマジックミラー号 AVに革命を起こした男
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ルポ・エッセイ
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はじめに

『わが青春のマジックミラー号 AVに革命を起こした男』
[著]久保直樹 [発行]イースト・プレス


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AVとは、映像を使った風俗である!


 日本にアダルトビデオ(以下、AV)が誕生したのは、1970年代後半──この本を書いている時点で40年足らずと、まだその歴史は浅い。


 しかしAVの登場で一般家庭にビデオデッキが普及し、VHSからDVDへと形態が移行した現在、月2000本もの作品が発売され、その市場規模は400億円から500億円とも言われている。


 こうした40年弱の歴史において、AV業界にひとつの革命を起こしたのは、1995年の「ソフト・オン・デマンド」(以下、SOD)創業であっただろう。


 それまでレンタルが中心であったAVの世界で、現在のようにセルAVが主流となったのはSODと創業者・高橋がなり氏の力によるところが大きい。


 レンタルからセルへ、という流通革命が起きたAV業界は、市場規模も拡大し続け、SODグループ自体も2006年には総売り上げが100億円を突破した。


 マメゾウこと私・()()(なお)()は、創業当初からSODに参画し、自身のメーカー「ディープス」を設立。現在はディープスを離れ、映画制作を行う「マメゾウピクチャーズ」の代表を務めている。


 そんな私にとってAV監督として最大のヒット作は、間違いなく『マジックミラー号』シリーズだろう。私が初代監督となり、1996年に誕生して以来20年続くこのシリーズは、現在まで累計315万本も売れている。まさにベストセラー作品だ。


 もともと私が映像制作に関わったのはテレビ番組の編集からで、さらに映画監督を目指しながら、結果AVの世界に入るなど、夢にも思っていなかった。


 しかし今にして思えば、こうしたキャリアを歩んできたからこそ、私はAVで大ヒット作を生み出すことができたのではないか。


 では、AVとは一体何なのだろう?


 もちろん、映像ソフト商品であるから、視聴者ありきの点においてAVも、映画やテレビと同じなのだが、その目的が異なる。AVはもっぱら視聴者の性欲を満たすためのもの、平たくいえば「オナニーの道具」なのである。


「そうではない! AVも作家性を持った作品である!」と異議を唱える人もいるし、実際そういう作家性を持つ作品もあることはあるが、やはり少数だ。ここで私が断言しておこう。


 AVとは、映像を使った風俗である!


 そしてAVメーカーとは、映像産業でありながら風俗産業でもあるのだ。


 その証拠に、AVメーカーがネット上にホームページをアップする場合、最寄りの警察署(生活安全課)に届けなければならない。それを怠ると風営法違反となる。


 ただし! 世界中どこのテレビ局の映像ライブラリーにもない驚愕の映像を撮影し、発信することがAVには可能なのだ。


 美少女が(じん)(ぷん)を喰らう映像や、本物の近親相姦などの貴重な記録、人類の文化遺産ともいうべきこれらの映像は絶対にOA不可。あのYoutubeでも即削除だろう。それはたとえ潤沢な制作予算と優秀なスタッフを擁し、数々の良質なドキュメンタリーを生み出し続けるNHKでさえ踏み込めない領域なのだ。


 月並みな表現だが、AVはアンダーグランドな世界である。そして、本来なら交わることのない人間たちが交じり合う場所でもある。


 たとえば、東大を筆頭とする高学歴者とヤクザに代表されるアウトロー、あるいは、浮浪者や知的障害者、黒人・白人・インディオと人種を問わず、果ては人種どころか犬や馬などの畜生まで、SEXを通じて交わるのがこの世界なのだ。


 ちなみに、私は一応、新卒採用でテレビ番組制作会社に入社し、その6年後にAVの世界へ来たのだが、ここで初めて“前科者”なる人種と遭遇した。


 とはいえSODの出現により、この世界も私が迷い込んだ1993年当時に比べれば飛躍的に健全化され、怪しさも薄れて大手メーカーは軒並み世間一般の企業となんら変わらない雰囲気に近づいているのもまた事実である。


 ディープスもここ数年の社員採用は新卒が主であり、有名大学出身のご子息たちが入社している。


 ましてやSOD本社をのぞいてみると、指紋認証のICチップ内蔵のIDカードをぶら下げた、スーツ姿の実直な若者たちが社内を右往左往している。


 AV業界にはメディアを発信するテレビ局に該当するメーカーと、それを取り巻くAVマスコミ(業界誌・専門誌)があり、タレントプロダクション(もちろんAV女優の)が数え切れないくらい存在し(もっともこちらはすぐ社名を変更したり、分裂したりしているので中身は同じだったりするのだが)、そこには営業やマネージャーがいて、タレントの売り込みと管理をしている。さらにはCS放送、ブロードバンド放送まで、アダルトコンテンツ市場は拡大している。


 本書では映像制作会社を経て映画賞を受賞し、AVの世界で『マジックミラー号』をはじめとするヒット作を生み出しながら、挫折の果てに再び映画の世界へ戻るまでの、私の半生をまとめた。


 もう15年以上前になるだろうか、老舗AVメーカー『V&Rプランニング』の創業者、安達かおる監督こと(さえ)(ぐさ)(すすむ)社長から次のような言葉を聞いた。


「一度このAVの世界を経験した人間は、辞めても必ず戻ってくる。なぜなら、普通の生活を送る人の何百倍の刺激を経験してしまったから……」


 ようこそ、AVの世界へ。

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