『わが青春のマジックミラー号 AVに革命を起こした男』
[著]久保直樹
[発行]イースト・プレス
私のキャリアはテレビの報道番組から始まり、バラエティー、ドラマ、Vシネマ、CM、ミュージッククリップ、映画、そしてAVと、「映像作品」と呼ばれるものは、ほぼすべて経験してきた。そんな私だからこそ断言できる。
1本のAVが店頭に並ぶまでの工程は、いわゆる一般作と変わらない。
どんなテーマでも映像作品であるかぎり“カメラで被写体を撮り編集する”ことに変わりはないのだ。
まず、AVが店頭に並ぶまでの工程は次のとおりである。
①企画立案 ②構成作成 ③キャスティング ④ロケ準備 ⑤ロケ(撮影、演出) ⑥編集 ⑦パッケージ制作 ⑧納品出荷 ※①~③は状況により前後する
これらの工程は、職種(パート)によって関わり方の密度が変わってくる。
たとえば、演出家は企画の立案をすることはあるが、企画を立ち上げるための資金繰りやキャストの交渉、タイアップや協賛の確保といった仕事はしない。それはプロデューサー、つまり制作パートの役割だ。
しかしAV──特に制作メーカーの場合、監督がプロデューサーも兼ねている場合が多く、もっというなら監督はカメラマンも男優もこなす、“なんでも屋”であることも珍しくない。“ハメ撮りもの”などは典型的な例だろう。
そのため、AV監督として「売れるAV」を作るには、この①~⑧までの工程をひととおり学んでおく必要がある。
一見、複雑そうに思えるが、前述したように映像作品はすべて“カメラで被写体を撮り編集する”ものである。
AVでいえば、「自分が立ち上げた企画で、自分がSEXしているところを自分で撮影し、その素材を自分で編集する」場合があるということだ。
それでは各工程を細かく見ていくことにする。