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タフネゴシエーター田中角栄──魔の日米繊維交渉

『自由民主党の深層』
[著]大下英治 [発行]イースト・プレス


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 田中角栄は、昭和四六年七月五日、佐藤内閣改造で、通産大臣になった。


 通産大臣に就任した田中には、「魔の日米繊維交渉」が待ち受けていた。


 二年前の昭和四四年一月、米大統領ニクソンが、選挙中に、繊維産業保護の公約をおこなった。それにもとづいて、五月、スタンズ商務長官を日本に派遣。毛・合繊製品の対米輸出規制の協定締結を要請した。これを日本側は、拒否した。

「アメリカ案は自由貿易の精神に反する。被害がなければ規制はない。被害があるならGATT(関税・貿易に関する一般協定)にしたがって対応すべきだ」


 が、一一月、沖縄返還交渉のため渡米した佐藤総理とニクソン大統領の首脳会談で、話し合いがおこなわれた。


 翌四五年になって、アメリカ側は、日本の毛・合繊製品のうち対米輸出の大部分を占める二八品目について、自主規制の枠を示した。そのほかは対米輸出水準が一定水準に達したとき規制を協議する「トリガー方式」という第二次案を出してきた。


 これに対して、日本の繊維業界は、日本繊維産業連盟を発足させて抵抗した。

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