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自由民主党の深層
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政治・社会
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太平総理が掲げた“一般消費税”

『自由民主党の深層』
[著]大下英治 [発行]イースト・プレス


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 昭和五三年一二月七日、大平正芳内閣が発足した。


 大平正芳は、明治四三年三月一二日、香川県生まれ。実家は中規模の農家であった。東京商科大学(現・一橋大学)を卒業後、大蔵省に入省。横浜税務署長時代、東京税務監督局直税部長だった池田勇人に目をかけられたのが縁で、吉田茂内閣の大蔵大臣となった池田の秘書官となった。


 昭和二七年一〇月、自由党公認で立候補し当選。三五年七月、池田内閣の発足とともに官房長官、三七年、改造内閣で外務大臣に。盟友であった田中角栄も自民党政調会長から大蔵大臣となり、「大角時代」の到来を告げた。三九年、池田総裁のもと副幹事長。四二年一一月、政調会長。翌年、第二次佐藤改造内閣で通産大臣。四六年四月、宏池会会長に就任。昭和四七年七月、総裁選に出馬、田中角栄、三木武夫、福田赳夫と争うが敗北。第一次田中内閣で外務大臣、改造内閣で大蔵大臣、三木内閣でも大蔵大臣。福田総裁のもとで幹事長を務めた。


 大平総理は、衆参両院の本会議で施政方針演説をおこなった。

「経済中心の時代から文化重視の時代」にいたったという時代認識のもとに、「日本型福祉社会」の建設を目指すという“大平哲学”を鮮明に打ち出した。


 大平総理は、昭和五四年九月三日、第八八臨時国会の開会式の所信表明演説で、自信たっぷりに打ち上げた。

「当面の目標は、昭和五九年度予算の赤字解消であります。これを基本として、すみやかに歳出削減につとめたい。なおそれでもどうしても不足する財源は、国民の理解を得て新たな負担を認めることにせざるをえない」


 太平ははっきりと、増税をうたった。この「新たな負担」こそ、一般消費税であった。

〈党への支持率が大きく回復してきたいまこそ、これを国民に訴えるべきだ。また、三木内閣の蔵相時代、世界的不況の荒波から国民経済と国民生活を守るため、とりあえず財政がこれを受け止めてなければならないと判断し、三兆七五〇〇億円という異例の特例公債を発行する責任者となった。いま、わたしの手で、何としても財政を再建しなくては……〉


 が、自民党内にも「増税をかかげては、選挙を戦えない」との空気が圧倒的であった。三木武夫も、大平を批判した。

「増税の独断専行は、困る」


 が、大平には信念があった。秘書の(やす)()(まさ)(はる)にいった。

「国民に噓をいって選挙に勝ち、それから一般消費税をもち出す、というのは民主主義ではない。フェアじゃない。選挙前に、堂々と打ち出すべきだ」


 大平は、選挙の公約として一般消費税の導入をかかげたのである。


 九月一八日、大平は、党遊説者とともに北海道札幌へ飛び、市内大通公園で選挙第一声の街頭演説をした。


 ところが、「一般消費税反対」という声が(ちまた)で上がった。岩手県に入ったところ、岩手県でも同様に反対の声が強い。


 一九年も大平の秘書をつとめ、このころは参議院議員になっていた()(なべ)(けん)()は、()(とう)(こう)(いち)といっしょに大平邸に行き、大平に訴えた。

「これだけ反対の声があるんです。一般消費税導入は、選挙公約としては取り下げてください」


 大平は、ぴしゃりといった。

「おまえたちみたいな若造に、日本の税財源についてわかりっこない!」


 大平は、険しい表情でいった。

「わたしは、私利私欲なしに、日本の将来の富に立ってものをいうのに、おまえらは選挙目当てのことばかりいって」


 が、大平は、二四日、東京都内の街頭演説で、ついに一般消費税の断念を表明した。

「一般消費税を導入しなくても、財政再建のできる手立てを考えている」


 なお、この大平の一般消費税構想は、のち中曽根康弘が、「大型間接税」としてぶちあげるが、猛反対にあい頓挫。竹下登によって、「消費税」としてようやく日の目をみることになる……。

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