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自由民主党の深層
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政治・社会
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小泉純一郎、三度目の正直

『自由民主党の深層』
[著]大下英治 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:4分
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 森総理は、平成一三年度予算が成立したのを受けて、四月四日、古賀誠幹事長に総裁選実施を指示した。


 平成一三年三月二七日午後、自民党の田中眞紀子と(ひら)(さわ)(かつ)(えい)は、議員会館の小泉純一郎の部屋を訪ね、自民党総裁選に出馬するよう要請した。


 田中はいった。

「このままだと、ゾッとするような出来レースの総裁選を橋本派にやられて、いつのまにか橋本さんが総理に決まってしまう。出馬するなら、応援する」


 平沢も、同調するかたちで出馬をうながした。

「田中眞紀子人気もくわえれば、勝機が出る」


 これに対し、小泉は苦笑いした。

「人寄せパンダとしては、(小泉・田中連合は)おもしろいかもしれないが、変人が二人そろって、どうするんだ」


 出馬要請をかわした。


 小泉は、四月六日、秋田県内での講演で総裁選に立候補する考えを事実上、表明した。

「戦うときは、戦わないといけない」


 小泉は、険しい顔をほころばせていった。


 田中眞紀子さんが、『立つの? いつ立つの?』とヤイヤイいってくる。女性にいつ立つの? といわれましてもねえ……」


 場内にどっと沸く笑いを抑え、ふたたび厳しい表情にもどって、きっぱりといった。

「男だから、負けを恐れて立たないのは、卑怯といわれる。過去二度総裁選に立候補しているが、二度あることは三度あるかもしれない。身を捨ててやらねばと思っている。国民を失望させないような方策を考えていかなければならない」


 橋本龍太郎は、四月一一日の橋本派運営幹事会で立候補を表明した。


 小泉が総裁選出馬を決めたとき、秘書の(いい)(じま)(いさお)は小泉に訊いた。

「党員名簿を、用意しますか」


 小泉は答えた。

「党員名簿は、いらない。街頭演説一本でいこう。チラシもつくらなくていい」


 飯島は実感した。

〈小泉さんは、余計なことはせず、聴衆の心に訴えかければいいと考えている。それでも勝てると踏んでいるのか〉


 従来の総裁選の必須アイテムは、党員名簿であった。自民党員は約二四〇万人で、党員名簿の値段は六〇〇万円であった。


 総裁候補の選対は、自分たちの秘書を総動員し、その虎の巻を頼りに支持を訴える文書を送付したり、電話作戦や面会作戦、いわゆるローラー作戦を展開する。これだけで億に近い選挙費用がかかる。そこで、飯島は、思い切って党員名簿を購入することをやめた。


 この戦略は、的中した。


 四月一三日金曜日、小泉の街頭演説が有楽町マリオン前でおこなわれた。西に向かうキャラバン隊の出発地点であった。その数、なんと三〇〇〇人であった。小泉も、さすがにおどろいていた。

「今日は、ひとが多かったねえ」


 だが、この小泉現象ともいうべき社会現象は、ほんの序章に過ぎなかった。


 四月一四日、大阪・難波の繁華街で四候補が初めての共同街頭演説会をおこなった。


 小泉は、ほかの立候補者たちとともにテレビに出演したとき、はっきりと言い放った。

「予備選で一位になりたい」


 小泉にとって有利だったのは、橋本派のドンである小渕恵三前総理が平成一二年五月一四日に、竹下登元総理が同じ年の六月一九日にこの世を去っていたことだ。そのため橋本派が弱体化していた。もし小渕、竹下の二人が元気であったなら、いくら小泉に国民的人気があっても、総裁選での勝利はありえなかったのではあるまいか。


 さらに、自民党執行部が予備選を四七都道府県でそれまでの一票から三票ずつの一四一票としたのだ。しかも、総取り方式で、その都道府県の一位が三票総取りにするというシステムにしたのだ。小泉の主張しつづける「首相公選論」に近いかたちになった。いわゆる、「地の利」も得たわけである。


 残るは「ひとの和」、つまり、国民的人気を背景にした自民党員の地方票を得ることであった……。

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