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女性政治家のリアル
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政治・社会
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はじめに

『女性政治家のリアル』
[著]塩村あやか [発行]イースト・プレス


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 二〇一三年に東京都議会議員となりました。放送作家からの転身という変わり種です。


 議員の任期は一期四年。その四年目に入りました。


 議会では「会派」といって同じ方向性や公約を掲げる議員がグループを組んでいます。その数が多いほうが役職がつき、委員会や審議会、海外視察の割り当てが回ってくるなど様々な特権を得ることができるので、都議会では多くの議員は会派に所属しています。都議会はだいたい国の政党に準じた会派構成になっています。しかし、私は現在はそれらの会派に所属をせずに「ひとり会派」で活動しています。


 最小会派にして、女性であり、さらに、かつて日本テレビ系のバラエティ番組「恋のから騒ぎ」に出演していた過去もある。東京都議会という場において、私ほどユニークな立場の議員はいないかもしれません。都議会で発生をした性差別野次いわゆるセクハラ野次/以降セクハラ野次問題とする騒動時には「みんなの党」二〇一四年末解党により消滅の会派に所属をしていました。四人という小さな会派でした。「政治の世界は数が力」と言います。私が今置かれているひとり会派という立場、そして、当時たった四人という会派は議会において力が強くありませんでした。


 これらの条件によって引き起こされた出来事であり、しかし、だからこそ見えてきたことがありました。


「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」

「まずは自分が産んでから!」

「産めないのか?」



 これは、二〇一四年六月一八日、東京都議会本会議の一般質問という、東京都の議会の中でももっとも大きな会議の場において、東京都の妊娠、結婚、出産にまつわる取り組みについての私の質問の最中に飛んできた、男性議員からの野次でした。


 信じられない発言に、私は一瞬言葉を失いました。


 それまでも(ひど)い野次は日常茶飯事でしたが、女性蔑視も甚だしい、悩みを抱える女性に対しての無神経きわまりない言葉。そして続く野次と笑い声。その野次の多さは、マイクを使って質問に立っている自分の声すら聞こえなくなってしまう状態でした。


 不妊治療のつらさを私に訴えてくれた支援者の方の顔が浮かび、思わず申し訳なさと情けなさで涙がにじみましたが、声を詰まらせながらも用意していた質問は最後まで言い終えました。なぜなら、都議会の本会議では決められた制限時間内に質問を終えなければ、答弁をもらえないという決まりがあるためです。


 その日の夜、私と同僚議員はことの顛末をTwitterに投稿しました。すると、翌日までに二万回を超えるリツイートをされ、東京都には一〇〇〇件を越える抗議がたった一日で寄せられました。次第に大きくなる世論を受け、最初の発言者であるA議員が野次を認め、謝罪しました。しかし、そのほか多くのそれに続く発言の主は現在もなお名乗り出ていません。


 この件は、海外の新聞やニュース番組でも大きく取り上げられ、世界中で話題になりました。


 ところが次なる問題が発生しました。


 当初、都議会を糾弾していたネットがその後一変し、公の場で「男を謝らせた」私への批判、そして、私の過去の経歴や出来事を歪曲した情報を流すなど、私へのバッシングが占めるようになったのですのちにそうしたことをするネット系グループがあることを知りましたが


 私は、精神的にはタフだという自負はあります。しかしこの一連の問題には大変に疲弊しました。それは、これほどまでに、政治の世界では当たり前のことが通用しないということのショックからでした。そして、この一連の事態を通して見えてきた、都議会、政治家、マスコミの中に巣くう体質的な問題は、そのショックの大きさと同じくらい大きく、看過できないものでした。



 一九七八年生まれの私は、いわゆる「ロスジェネ世代」です。日本の経済停滞期に社会に出て、非正規雇用としてキャリアをスタートさせた後、この世代の女性特有の困難や社会の不均衡に直面する場面が多々ありました。冒頭の一般質問の内容でもある、東京の女性の出産育児にまつわる問題もその一つです。そして、当事者として、このような状況を変えたいという想いから政治家を志しました。結果、幸運にも初めての選挙で、私と同じ想いを抱えていた方々の声を受けて当選できました。


 しかし、当選直後から直面した様々な理解し難い出来事を通して、日本で女性が政治家になることは決して世の女性に勧められることではない……というのが、今の私の正直な感想です。ただ一方で、日本は女性が政治家になることが当たり前の世の中になるべきだと、今もなお考えて、推進をしています。


 高度経済成長が終わり、停滞していた二〇年が過ぎた今、日本では様々なことが変わろうとしています。女性が家庭を守り、企業戦士として働く男性を支えることで経済成長を遂げた時代は終わりました。今後、日本が成熟した社会としてなだらかに上向きになれるかどうかが、国民の半数を占める女性の活躍にかかっていることは、諸データや学説を見ても明らかです。


 しかし現在、東京都議会の女性の人数は一二七人中二五人。議員全体の一九・六パーセントに過ぎません。政策決定に大きく関与する最大与党に限ってみれば、六〇人中たったの三人。五パーセントに過ぎません*二〇一六年九月現在

「今」をどう捉え、どう動くかで、未来は大きく変わるはずです。


 女性が働き、子を産み、育てることが当たり前になる社会。


 女性が政治家になることが当たり前になる社会。


 それは今の政治次第であり、つまり、私たち国民の意識次第なのではないでしょうか。その国民とはもちろん、人口の半数を占める女性も含まれています。


 現在の私たちに課せられた問題はあまりにも大きい。しかし、政治という世の中の舵をとる場において今、女性をめぐる状況がいかなるものであるか、そして、今後の世の中を変えるであろう可能性がどこにあるのかについて、困難を生きる当事者として、私の体験と、さらにそこから一歩踏み出して、今後の日本で女性がどのように生きていけば良いのか、この本でお伝えできたらと思っています。


 この本が、未来を変える一助となれば幸いです。

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