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女性政治家のリアル
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政治・社会
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大きな会派に所属するメリット

『女性政治家のリアル』
[著]塩村あやか [発行]イースト・プレス


読了目安時間:6分
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 みんなの党が解党してしまい、私は「ひとり会派」を最終的に選択しました。これは、女性であるという点に加え、さらに「ひとり会派」という大きなハンデを議会活動において背負うことになりました。


 大きな会派に所属するメリットは、多数派にいれば多数決で有利ということだけではありません。都議会にはまず、一番大きな会議として、各会派が行う代表質問や私が先に一般質問をした、「本会議」というものがあります。これはすべての議員が出席できます。都民のみなさんも傍聴することができ、議会の様子は録画され、ネット中継もされています。


 その次に、個別の常任委員会、特別委員会、議会運営委員会があります。

「常任委員会」の中には私も以前所属していた「厚生委員会」や、現在所属をしている「公営企業委員会」のように、専門ごとに九つの部門に分けられて所属するものです。


 特別委員会は、予算委員会や決算委員会など必要に応じて設置されるもので、そのほかに、民間の委員も含めて編成される合議制の諮問機関「審議会」というものが四七あります。さらにその他に、「議連」というものがあります。議連は各議員が興味や関心のあるものに、数に制限なく参加でき、任意で人数の制限もなくクラブ活動に近い印象です。




 特別委員会も審議会も、中身は固定のものと毎年変わるものがあり、一年ごとに割り振りしていくのですが、人数が多い会派からドント方式で順番に割り振っていくので、ひとり会派である私のところにくるのは、三〇年以上開催のない審議会だったりします。しかも任期中の四年の中でポストを割り振るのではなく、一年ごとに割り振るので、つまり、私のところには人気のある審議会は絶対に回ってこず、永遠に審議会には参加できないわけです。大会派になるとドント方式の割り振りで、ポストが多く回ってくるため、一人の議員が掛け持ちをして参加していたりします。一見平等に見えても大変に不公平なシステムで配分されています。だからみんな多数会派に行きたがるわけです。このようなことは、議員になってみないと分からないことでした。


 そしてこうした会に所属するとどんなメリットがあるのでしょうか。もちろん意見が議事録に掲載され、それに沿った都政にすることができます。ここまでは当然なのですが、ここからは都民のみなさんにとってはビックリすることではないかと思います。まず、参加するだけで、何も発言しなくても「費用弁償」という名の経費や交通費支給があります。


 また、有権者の方々は、舛添都知事の辞任で明るみに出たような、都議会議員が公費でオリンピックやワールドカップなどの関連イベントに二八人で一億円をかけて視察に行くということはご存知なかったのではないでしょうか報道で批判され中止。関連の議連に参加している議員の中から、会派ごとの議員の数でオリンピックやワールドカップへ視察に行く割り当てがあるのです。もちろん、こうした視察は議員の費用負担はなく、ビジネスクラス使用で議会局予算です。各議員の政務活動費からの支出も一切なく、お財布が傷むことなく大会派の議員を中心に参加できるという仕組みです。もちろん、一期四年の通期で調整せず、都度割りなおしをするので、ひとり会派は一度も権利が回ってきませんが、大会派になると一期で複数回にわたり海外視察に参加する議員も出てくるのです。


 海外視察を否定するものではありませんが、一年近く経ってもロンドンでのラグビーワールドカップの視察は報告書も出ていませんでした。仲間との思い出の海外旅行と同じ状態であれば、言語道断です。


 二〇一五年九月に「議会のあり方検討会」というものが発足しました。毎期任期の半分が過ぎた頃に立ち上がる検討会です。全議員に関わることであるにもかかわらず、ひとり会派の私を含め数人は参加ができません。いつこの検討会を開催するのかも、検討会の進め方も内容も非公開です。つまり、議員定数や是正、掴み金と批判の多い一日一万円多摩地域は一万二〇〇〇円の費用弁償をどうするのかという話し合いがどう行われたかも議員にも公開されないのです。透明性という観点では0点です。これでは、大会派の思いのままです。

「改革だ、無駄は許さない」と日ごろ訴えている議員が、日常会話では「政務活動費は使い切らないと損」と平気で言い切っているのも実際に耳にしました。


 どうしてみんなこうも変わってしまうのか。党の方向性なら仕方ないのかもしれませんが、私が思うに「何かを変えたい」という強い気持ちが足りないから、または気持ちが薄れてしまうからということに尽きると思います。議員を「職業」とするなら、収入の面では恵まれています。活動すればするほど経費がかかるので、無所属の私は政党からの支援もないために自分で年間数百万円を政治資金として持ち出していますが、それでも食べるに困ることはありません。大政党に属し、献金や政党からの支援もある議員であればかなりの預貯金ができるはずです。だから議員を二期くらいやっていると感覚がズレてきてしまうのかもしれません。大きな会派になればなるほど多くの特典がついてくるわけですから、その中にいることが快適になる。声を上げれば上げるほど、他会派や職員から睨まれて敵は増えていきます。


 マスコミだって、強いほうにつくのが常です。セクハラ野次問題の直後は例外中の例外で、私の擁護をしてくれるマスコミが多かったのですが、その前後は、執拗にこちらを叩いてくるメディアのほうが多かった。そうなると、何も言わないのが安全だし、表で適当にいいことを言って、何もしないことが一番楽になってくるのです。これを見て、こんなところにいるのは嫌だと思ってしまうのも仕方ありません。


 このような状況が続けば、女性で政治家になろうという人は少なくなる一方です。それでも政治家になりたいという女性がいるとすれば、何かを変えたいという正義感の強い人か、権力を持つことに優越感を覚えるタイプか。どちらかのパターンかに分かれてくるという気がします。


 これまで私は、非正規雇用で女性という、議会においては少数派として生きてきましたが、都議会というところはそのマイノリティに対する差別が酷い。カナダのトルドー首相は初の男女同数内閣を組閣しました。その理由を問う記者からの質問に「二〇一五年だから」と回答しました。特別な理由はない、当然でしょうと訳されています。これが世界を引っ張っていく成熟した先進国のリーダーの姿ではないでしょうか。


 ところが都議会は時代に遅れに遅れています。その理由も強き者の意向が忖度されすぎているように感じます。いかに強い者に付いて乗り切るかということしか考えていない議員や職員が非常に多いのです。中にはとても優秀で人柄も素晴らしい議員や職員もいますが、そうした方々ですら正面切って正しいことが話せない。世の中正論が通ることばかりではありません。しかし議会というのは「一人ひとりの議員は平等である」「男女平等である」という正論が通るべきところであるにもかかわらず、それが通らないのが、都議会の現実です。


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