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14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト
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生き方・教養
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ニーチェ

『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』
[著]飲茶 [発行]二見書房


読了目安時間:36分
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Friedrich Wilhelm Nietzsche


 歴史に名を残すような偉大な哲学は、十四歳ぐらいの子供が考えそうな「極端な発想」から生まれる。このことを示す実例としてニーチェの哲学(永劫回帰)を紹介したい。



 ニーチェと言えば「神は死んだ」の言葉で有名で、なんかもうこの言葉自体がすでに「ちょっと斜にかまえた中学二年生」が言いそうなセリフではあるのだが、そもそも彼が何について哲学をした人だったのかと言うと、それは「ニヒリズム」についてであった。


 ニヒリズム(虚無主義)とは何か? それはごく簡単に言えば、次のような考え方のことである。


「神? 正義? そんなもんどっかの頭のいいやつが作り出した嘘っぱちでしょ」

「だいたい宇宙なんて何の意味もなくただ存在してるだけで、人間が生きていることに何の意味もないよ」

「それなのに、神さま信じて殺し合いしたり、正義感ふりかざして人を追い詰めたりしてさ、まったくもってバカバカしいね」



 もしかしたら、「あれ? ニヒリズムの言っていることに共感するぞ」と思った人も多いかもしれない。だとすれば、それはニーチェの予言どおり。ニーチェは、こうした考え方を持つ人々、すなわち「神や正義について冷めた態度をとる者たち」が、未来において増えていくだろうと予見したのである。



ニヒリズムの誕生


 たとえば古い時代。多くの人々が「神さま」という存在を信じてきた。世の中には「善いこと」と「悪いこと」があり、「善いこと」をすれば「神さま」から恩恵をさずかり、「悪いこと」をすれば天罰がくだされる、そう本気で信じてきた。


 そんな昔の人々にとって問題だったのは、「何が善いことで、何が悪いことなのか」ということ。だって、「善いこと」「悪いこと」は、人間の(はか)りを超えた存在、神さまが決めていることなのだから、自分で「これが善いことだ!」と思ったとしても、もしかしたら間違っているかもしれない(たとえば、「罪のない人を殺すのは悪いことだ」ぐらいなら誰でも簡単に断言できるが、「牛や豚など、痛みを感じて泣き叫ぶような知能の高い動物を殺しても善いのか」と微妙な線を問われたら、「これが正解だ」とはなかなか自信を持って言えないだろう)。


 じゃあ、どうすればよいのかと言うと、答えは簡単。神さまに教えてもらえばいい。


 もちろん、僕たち凡人が神さまに「善悪の基準」を直接教えてもらうなんてことはできない。が、さすが世界は広いもので、世の中には神さまの声をきける特別な人たちがいる。しかも、おあつらえ向きに、そういう人たち(宗教家、預言者)からの情報をとりまとめた団体(宗教組織)まであるじゃないか。じゃあもうそこに所属して「正解」を教えてもらえばいいだろう。


「これが善いことですよー、これが悪いことですよー。悪いことすると死後にこんな罰をうけますよー」



 さぁ、これで安心。「神さま」がそう言っているんだから間違いない。


 しかしである。その宗教組織の人たちだってしょせんは人間。ときには間違いを犯す。たとえば、権力の座をめぐって身内同士で派閥争いをしたあげく殺し合いをはじめちゃったりとか……、明らかに科学的事実と異なる迷信を唱えたあげく反論者を処刑してしまったりとか……。いやいや、それはおかしい。彼らは、「完璧に正しい善悪」を教えてくれる、神さまの代弁者ではなかったのか。


 ここで問題は、そうした間違いが時とともに確実に積み重なっていくことである。結局、遅かれ早かれどんな宗教組織であろうと、過去をざっと見渡してみれば、


「うわー、あいつら、あんな綺麗事言っておいてこんな酷いことしてたのか!」



 という状態になっていく。


 すると、どうだろう。まるで夢から覚めるかのように、宗教に冷める人たちがどんどん出てきてしまう。


「なーんだ、『宗教の戒律(神さまが教えてくれる善悪の規範)』って、宗教関係者自身がぜんぜん守ってないじゃん。あーあ、真面目に守ってきて損した」

「こんな連中の宗教だもん、神さまの声をきいたって話もホントかどうかわかったものじゃないよな」



 こうなったらもうダメ。もはや宗教は、古い時代のような「僕たちに生きる道筋や規範を与えてくれる心の拠り所」としての役割を果たさなくなる。こうして次第に人々の間で「宗教離れ」が起こり、ついには「『神』や『正義(たとえ自分に不利益があろうと守らなければならない正しいこと)』などありはしない、あると信じるなんてバカバカしい」という価値観、ニヒリズムが生まれるのである。

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